アメリカの中西部、おいしい朝ごはんを巡る旅の第5回は、ミシシッピ川を北上してミネソタ州へ。川を境にした「双子の都市」と呼ばれる、ミネアポリスと州都セントポールを訪ねる。ブラッディ・メアリーをお供に、しっかり朝ごはんで締めくくります。

ドラッグ依存から帰還したオーナーが営む「地獄の台所」

週末のブランチに朝から行列の「ヘルズ・キッチン」。建物と建物を繋ぐミネアポリス名物のスカイウォークが見える。

 イリノイ州シカゴからスタートしたアメリカ朝ごはん旅。シカゴでも朝からビールをチェイサー(口直しの水)代わりにモーニング・カクテルのブラッディ・メアリーを飲んだが、ミネソタ州ミネアポリスでブランチに行列のできる有名店「ヘルズ・キッチン(地獄の台所)」でも一緒の組み合わせ。

ブラッディ・メアリーには、ソーセージも。コップの淵のソルトは唐辛子入りでスパイシー。

 ここの名物であるブラッディ・メアリーは、グラスに刺さっているソーセージとピクルスをかじりかじり飲むというスタイル。ベーコンやらチーズやらおつまみの数々が刺さったオリジナルバージョンもある。

地下にある店内は音楽ががんがんかかり、朝という感じではないが超満員。

 平日は朝6時半から、週末は7時半から営業していて、特に日曜はライブ演奏が入り、いつも満員。まだ午前中だとは思えない盛り上がりようだ。このレストランのオーナーシェフであるミッチ・オマー氏は、かつてドラッグで底辺まで沈んだ後、大盛況のレストランを経営するまでに復活した人物。そんな苦労をしているだけに、服役の経験のある人を雇用して社会への更生を手助けしているという。

キャラメル・ペカン・ロールは、シナモン・ロールに熱々のキャラメルソースがけ。
ワイルドライス、ヘーゼルナッツ、ブルーベリーにメイプル・シロップとヘビークリームというポーリッジはリッチな味でおいしい。

 この「ヘルズ・キッチン」のブランチは、ハッシュドポテトのミニ版であるトッツやキャラメル・ペカン・ロールなどのスターターから始まり、エッグベネディクト、ステーキなどの重めのもの、サラダやスープ、サンドウィッチやバーガーなどメニューが豊富で、迷ってしまう。

左:ドラッグジャンキーから更生した体験から「セカンドチャンスを与えるべき」というミッチ・オマー氏。
右:お隣りは真逆の真っ白な店内にかわいらしいマフィンやドーナツが並ぶ。ミッチさんの奥様経営のベーカリーで、その名も「エンジェル・フード」。

Hell's Kitchen(ヘルズ・キッチン)
所在地 80 South 9th Street, Minneapolis, MN 55402
電話番号 +1-612-332-4700
URL  http://www.hellskitcheninc.com/

2015.03.23(月)
文・撮影=小野アムスデン道子