初出演映画『桐島』がターニングポイントに

――その後、『桐島、部活やめるってよ』の帰宅部の一人、友弘役で、念願の映画に初出演されますが、今振り返ると、どのような作品だったといえますか?

 ちょうど「イケパラ」を撮っているときにオーディションを受けていたんですが、私生活では体験できなかった“青春の思い出”といえるんじゃないでしょうか。高知での撮影だったのですが、みんなと一緒にご飯食べて、お風呂に行ったり、芝居の話をしたり、練習してみたりしてました。勝手に観光に行って怒られたのもいい思い出です(笑)。本当に楽しいことばかりで、初めての映画で撮影が大変だったとか、まったくありませんでしたね。確かにリハーサルのとき、吉田(大八)監督から「芝居が大きい」と言われて直したこともありましたが、そういったことも全然苦じゃなかった。そういう現場の空気が、怖いぐらいそのままスクリーンに投影されていると思います。

――やはり、いちばん仲が良かったのは、帰宅部を演じた面々(東出昌大、落合モトキ)なんでしょうか?

 帰宅部もそうですけれど、太賀くんや鈴木伸之くんなど、バレーボール部(役の俳優)とも仲が良かったです。(神木隆之介、前野朋哉など)映画部(役の俳優)は、撮影では絡みが少なかったので、後から仲良くなりました。そして、吉田(大八)監督はもちろんですが、僕とはキャリアが全然違う落合モトキくんの影響は大きくて、自分の考えもガラッと変わりましたし、この映画が評価を受けたことで、ちょっとだけ自分の演技に自信を持てるようになりました。初めて出演した映画にして、大きなターニングポイントとなりましたし、恵まれているなと思います。

――そのほか、自身の転機になった作品はありますか?

『カノジョは嘘を愛しすぎてる』は初めてのドラム演奏があって大変でしたが、音楽が好きなので、普通じゃできないライブの経験ができて楽しかったですね。それに、共演した佐藤健くんや三浦翔平くんなど兄貴肌の人に囲まれて、居心地が良かったです。あと、11月からWOWOWで放送される「平成猿蟹合戦図」の撮影も、『桐島』に近い楽しさがありました。現場ではホスト役の僕がいちばん年下だったんですが、プライベートでも先輩方がイジッてくれましたし、演技に関しても、僕がいろんなことをやっても、行定勲監督が受け入れてくれて、むしろ、それを求めてくれている感があって、とても勉強になりました。

2014.09.25(木)
文=くれい響
写真=中井菜央