◆体内では様々な免疫細胞が連携して体を守っている
「免疫力が低下したから風邪を引いた」など、普段から何気なく使っている“免疫”という言葉。その定義を、免疫やアンチエイジングに詳しい、Rサイエンスクリニック広尾の日比野佐和子さんに伺った。
「免疫とは、細菌やウイルスなど体の中に入り込んできた異物に対して抵抗する力のこと。風邪を引いた時に熱が出たり、けがをした時に傷口に膿が出るのもこの免疫機能によるものです」
血液中の白血球などに存在するという“免疫細胞”には、様々な種類があるのだそう。
「免疫細胞には、大きく分けると、生まれつき体内に備わっている“自然免疫”と、予防接種や病原体などの異物をとり入れることでできる“獲得免疫”があります。体内に侵入した細菌やウイルスを分解する“マクロファージ”などの自然免疫と、敵の情報を他の細胞に伝達する“ヘルパーT細胞”などの獲得免疫、それぞれが体内で連携しあって、私たちの体を守ってくれているのです」(日比野さん)
加齢やストレスなどで低下するといわれてる免疫力。なかでも注目なのが、免疫と腸の関係。
「腸には体内の免疫細胞の約60%が集まっているといわれていて、腸内の善玉菌が減って悪玉菌が増えると免疫力が落ちることがわかっています。現代の女性は仕事などで忙しく、生活も不規則になりがち。最近、疲れがとれないという女性の腸内細菌を調べたら善玉菌がゼロだった、ということも。免疫力を高めるにはまず、腸内環境の見直しが必要です」(日比野さん)
ローフードマイスターの志村双葉さんも、「免疫力を高めるには、積極的に酵素をとって腸内の善玉菌を増やし、腸の働きを高めることが大切です。酵素の多い“生”の状態で野菜を食べ、ヨーグルトや漬物などの発酵食品もバランスよくとり入れて、腸内環境を常にベストな状態にしておきましょう。就寝の4時間前には食事を済ますなど腸を休める時間を作ることも必要です」とアドバイス。
また、免疫は肌の美しさにも関係しているという。
「皮膚にも、紫外線などの外的刺激から守ってくれる“ランゲルハンス細胞”という免疫細胞が存在します。しかし、この細胞、ストレスなどで働きが弱まってしまうので、意識的に肌の免疫力を高めるケアをすることが、美肌の秘訣です」(日比野さん)
「5年、10年後も美しくあるためには、質のいい食事、運動、睡眠で免疫力を上げることが重要。まだ30代だからと油断をせず、免疫力を高める習慣を心がけてください」(志村さん)
2014.09.15(月)
文=猪原美奈、九島茉里
撮影=橋本 篤