映画『藁にもすがる獣たち』で欲望に忠実な謎めいた女性・し~なを演じた森 七菜さん。これまで数々の作品で存在感を示してきた森さんですが、2026年の今年、デビュー10周年という節目を迎えています。デビュー当時から変わらず持ち続けているもの、そして覚悟とは? これまでの俳優生活を振り返っていただきました。
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「全部に意味があった」
――デビュー10周年おめでとうございます。デビュー当時と比べて、台本を読み解く際の見方やスピード感に変化は感じますか?
考えたことなかったですね。以前はオーディションだったものが直接お話をいただけるようになったり、好きで読んでいた漫画のキャラクターになれたりと、役との新たな出合い方が年々増えていっています。すごくありがたいことですし、それによって作品が作られていくスピードも全然違う。その環境下で見れば、自分なりのスピード感はあんまり崩れていないような気がします。いい安定感をまだ保てているな、という印象はあります。
――ご自身の中で転機になったと思う作品や役は何ですか?
役によって転機となる方向性が全部違うんですけど、本当に「全部に意味があった」ような気がしています。自分を見つけられたきっかけだったり、次の役に繋がっていったり。みなさんに知ってもらえるきっかけももちろん転機なんですけど、そういうものの集まりで今の自分ができている感覚があるので、これからも一つひとつをちゃんとやっていかなきゃいけないなと感じています。
――経験してきたすべての作品を糧にされているんですね。
わりと今の自分は「ポケモン的」な感覚というか(笑)。トレーナーに育てられ、さまざまな技を覚えながら成長してきたなと思います。声を作ってもらったのは新海(誠)監督だし、自分がこうなっていきたいという指針を作ってくださったのは岩井(俊二)監督。これから俳優をずっと続けていいんだと思わせてくれたのは是枝(裕和)監督、というように。そういう素敵な出会いの集まりですね。
――近年は『炎上』など、人間の業を背負うような役も続いていますが、表現することに対する変化や新しい芽生えはありましたか?
やってみて思うのは、どんな生き方をしている人も本当に「みんな赤ちゃんから始まっている」ということです。そこから自分の素質や環境によって自分が作られていく。それが不運なのか幸運なのかは本人によりますけど、その視点って自分にとっての世界の見方にもすごく繋がる気がしていて。
たまたま今日すごく感じの悪い人に会ったとしても、「もしかしたらこの人は悪くないのかもしれない」と思うみたいに、その人の「前のシーン」や「その後のシーン」を想像するような見方が、この仕事でいろいろな面を持った役柄をやらせてもらうことで備わってきた感じがします。それは現実世界を生きていく上でも通じることだなと思っています。
