原油はあるのに…なぜ航空燃料・石油製品は値上げ?
――全体的な影響は少ないとのことですが、各航空会社のサーチャージ料の値上げや、タイヤや住宅建材の値上げ等の影響が見られます。原油への影響がないにもかかわらず、ジェット燃料や石油を原料とした商品が値上げしている理由は何なのでしょうか。
まず航空燃料に関しては、ペルシャ湾の沿岸、つまりホルムズ海峡の内側にある事業者が、世界に流通するジェット燃料の多くを作り、輸出していた……という背景があります。これらの事業者が作るジェット燃料に、数多くの国が依存していた。今回のイラン戦争により、その設備が一部止まってしまったため、原料となる石油があっても、ジェット燃料は不足しているのです。
特にヨーロッパは中東で作られたジェット燃料を大量に消費していたため、影響が大きい。原油価格の上昇よりも、ジェット燃料の価格上昇のほうが何倍も跳ね上がっています。イメージで言うと、一番高い時でも原油価格が60ドルから高いときで100ドルに対し、ジェット燃料はそこに最大で100ドルも価格が上乗せされる状態。精製される量が不足しているため、原料の値段と関係なく価格が高騰しています。
――この値上げは、どのくらいで落ち着き始めるのでしょう。
現在ジェット燃料の価格は一番高いときよりは落ち着きましたが、先ほど申し上げたように、ホルムズ海峡の内側にいる作り手が停止している。ホルムズ海峡の状況が落ち着かない限りは、サーチャージ料は高いままがしばらく続いてしまうでしょう。便数は減っているので、需給バランスで徐々に収束していくとは思いますが、原油とは事情が異なります。
タイヤや住宅建材、トラックの燃料となるディーゼルなども同様で、それらの原料を加工する事業者の多くが、ホルムズ海峡の内側に拠点を置いている。原料となる原油は輸出できても、その原油を基に作られる製品においては加工主が不在となり、輸出が難しくなっているのです。ただ、全体的にはピークだった4月、5月ごろよりも価格は下がっていきます。今より上がるということは基本的にはないと考えています。
住宅の施工が延期になるケースもここ数カ月増えていましたが、これも調達に不安があるためです。ここには、すべての材料が確実に揃うことが約束されないと、施工の判断ができないという建築会社の事情がある。しかし、材料が足りなくて困っているという相談件数自体は6月以降かなり減ってきているので、解消に向かっているとは思います。報道に煽られず、こうした事情を把握して、落ち着いた判断をすることが大切です。
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