今年2月末より続いている、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃。6月中旬には一度停戦合意に署名したものの、その後合意は決裂。イラン革命防衛隊が「ホルムズ海峡の封鎖」を宣言した。

 このままホルムズ海峡が不安定な状態が続いた場合、今後の私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか。エネルギー専門家であるポスト石油戦略研究所の大場紀章さんに聞いた。

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イランが初めて「封鎖を宣言」

――現在のホルムズ海峡を取り巻く状況について教えてください。

 イランへの攻撃によりホルムズ海峡の事実上の封鎖が続いていましたが、6月、イランとアメリカによる停戦合意がなされたことで、船の運航が一部再開しました。しかし、報道にあるように再び攻撃が始まってしまい、ホルムズ海峡は再び閉ざされることに。これまでは“事実上”の封鎖でしたが、今回イランは7月11日に初めて自ら封鎖を「宣言」しました。現在、船の通行量は最も酷かったときの水準まで再び落ちてしまい、ほとんど通っていない状態に戻っています。

 ……ただ、こう聞くと大変な状態に思えるかもしれませんが、実生活においては意外とそうでもありません。停戦合意の前の状態、具体的には6月ぐらいの状態に情勢が戻ったというイメージです。私たちの生活は停戦合意後も特に変わらなかったので、停戦合意前の状態に戻ったからといって、我々の生活が急激に悪化するようなことはないでしょう。

――ホルムズ海峡が不安定な状態が長く続くと、一番気になるのはやはり中東依存度の高い石油です。

 ホルムズ海峡を取り巻く事態は悪化していますが、実生活への影響はあまりないと考えます。さらに原油に関して言うと、世界中の研究機関や金融機関は、この状態でもなお価格はまだ下がると予測している。これは、迂回ルートや備蓄の放出が機能しているためです。特に備蓄に関しては、ホルムズ海峡が封鎖されても、少なくとも原油の供給については問題ない状態が6月には確立されていました。ホルムズ海峡を通れるか通れないかは、原油においては短期的にはあまり関係がないのです。

 迂回ルートが攻撃されたり、周辺国を巻き込んだ大戦争になったりすれば話は別ですが、よほどのことがない限り、今年の後半から来年にかけて石油価格は以前の落ち着きを取り戻し、下がっていくと思われます。

――カタールやサウジアラビア、UAEなどのエネルギー施設が爆撃された影響はいかがでしょうか。

 イランは意図的に、各国のエネルギー施設に対して致命的な攻撃をしないようにしています。数多くの施設が攻撃されているため、つい甚大な被害があるように思いがちですが、世界の供給に大きな影響を与えるような被害は起きていない。日本への供給も続いており、私たちにとってはあまり影響がないでしょう。

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