西園のパンダがいたエリアで電動小型カートが運行開始

 シャンシャンがいなくなると、上野動物園のパンダ飼育の舞台は、完全に東園から西園へ移った。都は2020年に西園でパンダ舎を新設しており、リーリーとシンシンは同年8月24日に東園からそこへ引っ越した。一方、シャンシャンは同じ年に中国へ渡る予定だったので東園に残った(コロナ禍で渡航は延期)。ちなみにシャンシャンは、2022年7月の約1週間だけ、西園パンダ舎で暮らしたことがある。東園パンダ舎(現在は旧パンダ舎)で空調機器が老朽化して、空調工事をしたためだ。

 2021年6月23日、西園パンダ舎で双子のシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)が誕生。双子が2026年1月27日(火)に中国・四川省へ向け出発し、日本を離れると、日本からパンダがいなくなった。

 西園では、パンダがいたエリア一帯を1周する、電動小型カートの本格運行が6月23日(火)に始まっている。運行するエリアは、カートに乗らなければ、通ることができない。乗車するには、事前にウェブで申し込む整理券が必要で、すぐ満席になることもある。

 カートは、パンダがいた屋外放飼場の前を通る。次のパンダの飼育に向け整備された、やぐら状の構造物も見ることができる(参照:「リーリーは比較的すぐ…シンシンは時には装置を」上野動物園がパンダの個性に合わせて取り組んだ飼育方法とは?)。一部のエリアには、リーリーとシンシンの実物大パネルが設置されている。

 カートは、パンダを飼育した建物の裏手も通る。パンダがいた頃は関係者以外、立入禁止だったエリアだ。ここでは、世界中から上野動物園にやってきた動物たちを年表形式のパネルで紹介。さらに、ずらりと並ぶ空調設備も見ることができ、暑い日でもパンダが快適に過ごせるように管理されていたことが分かる。

 再びパンダが来れば、住みかは西園となる。役目を終えた東園の旧パンダ舎(第2代パンダ舎)では、これまでにフェイフェイ、ホァンホァン、トントン、ユウユウ、リンリン、シュアンシュアン、シンシン、リーリー、オスのパンダ(命名前に死亡)、シャンシャンの計10頭が暮らした。これらのパンダを観覧した人は多い。パンダ舎がなくなっても、ここを訪れ、パンダを観覧した思い出は残るだろう。

中川 美帆(なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(17カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、オーストラリア、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

パンダワールド We love PANDA

定価 1,650円(税込)
大和書房
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)