クリエイションに集中できる環境を作った
コシノ 私には確固たる持論があるんです。デザイナーは、クリエイションが仕事なんだから、販売や生産といった実務は、それに長けた会社と提携してそちらに委ね、自分は本分であるデザインに専念した方がいいということ。単なるライセンスにとどまらず、完全にビジネスを任せられる相手と協業すべきだと、私はかなり早い段階から見極めていたんですよ。
近田 ミュージシャンなんかでも、下手に得意でもない経営に手を出すと失敗しますからね。そういうケース、よく耳にしますよ(笑)。
コシノ そして、アパレル大手のイトキンとの合弁で、1982年に「ヒロココシノインターナショナル」という会社を創業したんです。つまり、デザイナーとして最高の環境を自分で作ったんですね。それ以降は、クリエイションに集中できるようになった。
近田 それは、一種、クリエイターにとって理想のあり方ですね。
コシノ やっぱり、大企業の培ってきたノウハウは強いし、だからこそ商品もしっかり売れる。そういった盤石な経済的背景がなければ、自分の思った通りの妥協のない作品は作れませんね。これだけの数の作品を残し、こういった大規模な展覧会を開くこと自体、最高の環境を維持してきたゆえの成果だと思っています。
近田 並のデザイナーでは、この展覧会は実現不可能だろうなと思いましたよ。
コシノ ちなみに、ブランドの最盛期は、優秀な基盤店が3店舗もありました。新しい洋服をお店に出すでしょ、すぐ飛ぶように売れていた。
近田 それはすごい。
