バブル崩壊という逆境で“株”が上がった理由

近田 服飾の世界って、ずいぶん変化が激しいですよね。

コシノ この仕事は、モードの変化のみならず、時代の流れを確実に摑んでいかないと対応できない仕事なんで。実は、石油ショックとかバブル崩壊とか、そういう危機にこそ、私のブランドはバンバン伸びてきたんですよ。逆境を切り抜けた時、自分の次元がボーンと上がる。私には、そういうところがあるんです。

近田 例えば、どんな具合だったんですか。

コシノ バブルの時期は、海外の洋服を真似して簡単にちょちょっと新しい商品を出せばそれが売れていたから、日本の多くのブランドがそういう安直なビジネスを繰り返してたんですよ。

 でも、私はそれが嫌だった。自分の方向性を見極めた難しい作りの商品が多かったから、なかなか引き受けてくれる縫製工場がなかったんです。たとえ引き受けてくれたとしても、生産を後回しにされちゃったりする。

近田 まあ、楽に儲かる案件を優先しちゃうでしょうからね。

コシノ ところが、バブルが弾けてみんながガシャッとなった後は、難しいことを前向きに引き受けてくれていた業者だけが残ったんですね。大量生産のやりやすい仕事しかしてこなかった業者は、総潰れになっちゃった。

近田 真面目にやってきたところが残ったと。

コシノ その結果、業界が整理されたことで、私のブランドでも、タイムリーに製品を店頭に送り出すことができるようになった。そして、少し変わったデザインも世の中に受け入れられるようになり、私の株がものすごく上がったんです。

近田 怪我の功名でしたね。

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