一番の息抜きは「舞台に立つこと」寝る前の“お守り”も

――以前、仏像を眺めるのが息抜きとおっしゃっていましたが、最近のリフレッシュ方法は?

 車の運転です。運転自体が好きですし、車内で一人、運転しながらセリフを覚える時間が私にとっては大切なんです。

――セリフを覚えるのはお仕事の一部だと思いますが、それが「息抜き」になるのでしょうか?

 もっと言うなら、舞台に立っているときこそが一番の息抜きかもしれません(笑)。2月にお休みをいただいたのですが、3月に再び舞台へ立ったとき、逆に解放されたような感覚がありました。休みだと何をしていいか分からず、結局何もせずに終わってしまうんです。自分には休みがないほうが合っているんだな、と休んでみて初めて気がつきました。

――外部作品はスケジュールも異なりますが、コンディションを整えるために続けている習慣はありますか?

 最近は「ヤクルト1000」を飲むようにしています。睡眠の質がよくなった気がするので、毎晩寝る前の欠かせない習慣になっています。

――プレッシャーなどで眠れなくなることもあるのでしょうか?

 赤ん坊の頃から寝つきが悪かったようです。床がミシッと鳴っただけで起きてしまうので、寝かしつけも一苦労だったと聞きました(笑)。明確に眠れないと自覚したのは「染五郎」を襲名したときです。ものすごい重圧で、翌日の舞台のことばかり考えてしまい、頭が冴えきって全く眠れませんでした。

――最後に、『ハムレット』を楽しみにしている読者へ、メッセージをお願いします。

 「古典作品を観る」と構えるのではなく、現代劇を観るような、あるいは“令和の日本”の物語として観ていただくと面白いかもしれません。シェイクスピアが素晴らしいのは、どの時代にも通じる「人間の普遍的な性質」を描いているからだと思うんです。演出のルヴォーさんも「今の時代にやる意味」を大切にされています。

 もちろん、どんなふうに観ていただいても構いません。皆さんが抱くハムレット像より若く見えるかもしれないし、そうではないかもしれない。ただ、舞台上では100%の力を出し切ります。皆さんの感性で、何かを“感じて”いただけたら、これほど嬉しいことはありません。

市川染五郎(八代目)

2005年3月27日生まれ、東京都出身。父は十代目松本幸四郎、祖父は二代目松本白鸚。2009年6月、歌舞伎座『門出祝寿連獅子』の童後に孫獅子の精で四代目松本金太郎を名乗り初舞台。2018年に八代目市川染五郎を襲名、『勧進帳』で源義経を演じた。近年の主な歌舞伎出演作に、『源氏物語』、歌舞伎 NEXT『朧の森に棲む鬼』、『木挽町のあだ討ち』ほか。ドラマ『鎌倉殿の13人』、『鬼平犯科帳』、映画『レジェンド&バタフライ』、Prime Video『人間標本』など映像分野でも活躍。本作で初のストレートプレイに挑む。

『ハムレット』

出演:市川染五郎 當真あみ 石川凌雅 横山賀三 梶原善 柚香光 石黒賢 ほか
演出:デヴィッド・ルヴォー
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子

【東京公演】日生劇場
2026年5月9日(土)~5月30日(土)
【大阪公演】SkyシアターMBS
2026年6月5日(金)~6月14日(日)
【愛知公演】名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
2026年6月20日(土)~6月21日(日)

https://hamlet2026.jp/

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