90年の時を刻む外壁など装飾のディテールに注目

「帝国ホテル 京都」を訪れたら、まず注目したいのが外壁装タイルです。「弥栄会館」の外壁に使われていたタイルを、損傷を与えないように取り外して再利用する“生け捕り”と呼ばれる方法を実施。

 長年風雨にさらされたタイルはもろくなっていたため難作業となりましたが、最終的に10万枚ほどあったタイルのうち、およそ1万6000枚の“生け捕り”に成功。ホテルのシンボルとなる南面のタワーの外壁と西面の一部には、90年ほど前のタイルが落下防止対策を施した上でそのまま残され、残りの南西面の外壁は、再利用タイルと新たに作り直した復刻タイルが共存しています。

「帝国ホテル 京都」の設計は、新素材研究所の建築家である榊(木篇に神)田倫之氏が担当しました。

 館内は重厚感のある素材使いと水平垂直を大切にした意匠でまとめられ、直感的に帝国ホテルらしさを感じますが、それは、こだわりのディテールがあるからこそ。

 例えば、車寄せのひさし部分は、「弥栄会館」時代のホールの緞帳上部の壁に使用されていた麻の葉のデザインをアレンジ。エントランスをくぐる前にぜひ上部を見上げてみてください。

 そして、館内に入ってすぐの天井には、梅の花がデザインされた「弥栄会館」時代のオリジナルのエッジングが使われています。

 さらに目の前には存在感たっぷりのロゴ看板が登場。奈良県にある吉野水分神社の修験道に自生していた樹齢約1000年の欅の一枚板を使用したもので、ライオンのシンボルマークは老子製作所で製造された鋳物、ホテル名は螺鈿細工で記されています。

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