20代から40代まで…参加メンバーが多様であった理由

――今回、参加者のルーツや年齢(20歳~40歳)の幅がより広がりました。恋リアにおいて、参加メンバーが多様になればなるほど、「恋愛対象」としての選択肢が狭まる懸念はありませんでしたか?

 恋愛に特化した番組ならそういった懸念はありうるのかもしれません。ただ、この番組が掲げているのは恋を探すだけではなく、「人生においての宝物」を見つけることなんです。大人になっても、夏休みや冬休みのような特別な時間を過ごし、それを次の人生に活かしてほしい。その過程でパートナーが見つかれば幸せですし、たとえ恋愛に発展しなくても、一生の友人ができれば番組参加の目的は果たせます。参加する彼らも、その意義を深く理解してくれていると感じています。

――たとえば韓国のクィア・リアリティショー『僕たちのシェアハウス』のような番組では、似たタイプの参加者が集まることで恋愛が加速する傾向があると思うのですが、本作は異なる地平を目指していると。

 まさにその通りです。他作品が持つ明確なテーマをリスペクトした上で申し上げると、この番組で目指しているのは「既存のカテゴライズを問い直す試み」でもあります。

 ゲイやバイセクシュアルという枠組みの中にも、当然ですが、多様な人生、価値観、バックグラウンドを持つ人々がいます。特定の「系統」に絞るのではなく、あえて多様なメンバーに参加してもらうことで、「人がそれぞれ違うのは当たり前である」という、ごく当然のことを映し出したいと考えました。

「本物の言葉」だからこそ視聴者に響いた

――今の時代に本作を配信する意義をどう捉えていますか?

 LGBTQ+をめぐる状況も、進んだ部分もあれば、揺り戻しも起きてしまっていると思うので「社会も変わってきましたよね」とは安易に言えません。ただ、どんな関係においても、お互いの立場を理解し合おうとする心が社会生活を営む上で重要なことだとは言えると思います。

 もちろん、参加者たちが自分たちに誇りを持ち、偏見や困難に対して「屈しない」という姿勢を発信してくれたことも、大きな意義のあることでした。テホンがカミングアウトに際して抱いた並々ならぬ覚悟や、ヒロヤやフーウェイがそれぞれのやり方で示した「社会が良くなってほしい」という願い。彼らの人生から滲み出た本物の言葉だからこそ、多くの人に響くのだと思います。

――当事者の方々が大切にするコミュニティの文脈を尊重しつつ、同時にマジョリティの視聴者にも届く「共感性の高いエンターテインメント」として成立させるのは容易ではないと思います。その両者の板挟みで葛藤することはありますか?

 すごく難しい問題ですが、そもそもその2つが対立する必要はあるのだろうか、と問いたいです。理想はその2つが重なっていくこと。

 一人の人間の物語を深く掘り下げていけば、そこには、恋愛をする人にとっては多くが経験する「人を愛する痛み」や、誰もが考える「自分らしくあることの尊さ」が必ず現れるはずだと信じています。男性同士の恋愛を正面から描くこの番組が「人への優しさ」を真摯に映し出すことは、普遍的なメッセージになると信じています。

 とはいえ、それは「同性愛も異性愛も変わらない」と思われてしまう恐れもあります。広く共感してもらった先に、当事者特有の生きづらさが見えなくなってしまうことのないように本作でも注意を払って制作に臨みました。

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