世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第40回は、たかせ藍沙さんがパプアニューギニアで体験した笑いの絶えない旅について。
意外と近い「秘境」パプアニューギニア
「パプアニューギニアに行く」と言うと、友人たちは必ずといっていいほど、「そんなところに行っても大丈夫?」と返してくる。それは、政情や治安が心配ということではなく、どこか遠くのとんでもない「秘境」というイメージがあるからに他ならない。「いえいえ、日本から直行便でたったの6時間30分だから」と説明すると、「えー、そんなに近いの!?」と驚く。
「秘境」のイメージのもとは、テレビや雑誌などで紹介される「シンシン」という民族舞踊。熱帯雨林の島で暮らす数百の部族がそれぞれ独自の装束と踊りをもっていて、全身白塗りにしてお面を被っていたり、顔を黄色く塗ったり、傘のお化けのような円錐形の衣装だったり。そのユニークさがさらなる秘境感を醸しているのだろう。
でも、ニューギニア航空が日本に乗り入れていて、前述の通り、首都のポートモレスビーなら直行便でたったの6時間30分で行くことができる。ハワイよりも近いのだ。こんなに近くて手つかずの自然が残されている南の島は、実は日本人ダイバーの間で人気の国。最近ではサーファーの旅行者も増えている。
今回ご紹介するのは、そこから小型機で約1時間の場所にあるニューブリテン島。この島の東部、イーストニューブリテンの州都ラバウルは、第二次世界大戦中に日本軍が占領していたことで、「ラバウル小唄」という曲にも歌われた町だ。空港で見かける年配の日本人の中には、戦没者遺族の方などもいらっしゃる。
そのニューブリテン島の西部、ウエストニューブリテンにあるホスキンスの空港から車で45分ほどのキンベ湾に、ワリンディ・プランテーションリゾートがある。日本人ダイビングインストラクターの屋本恵子さんが常駐していることもあって、日本人ダイバーのリピーターも多いリゾートだ。そう、今回の旅の目的はスクーバダイビング!
2014.07.01(火)
文・撮影=たかせ藍沙