蒼い海と美しいビーチあり、南蛮文化に影響された独特のカルチャーあり、キリシタンの歴史が育んだロマンティックな風景あり。さらに、山海のグルメに恵まれ、ラグジュアリーなホテルから庶民派の温泉まで揃う天草は、旅好きには魅力満載の島。長崎の教会群とともにユネスコ世界遺産への登録を目指す天草の魅力を7回に渡ってお伝えします。
» 第1回 人なつっこいイルカに会える確率98%キュートなイルカ飛行機に乗って天草へ!
» 第3回 “陶磁器のふるさと”天草の個性的窯元と平成に甦った天草更紗を訪ねて
» 第4回 東シナ海に沈む太陽が感動的 天草夕陽八景と絶景温泉ベスト5
» 第5回 静かな漁港に望むゴシック様式の天主堂 キリシタンの歴史が息づく祈りの島
» 第6回 海からの風に南蛮文化の香り漂う 天草らしさを満喫できる個性派ホテル
» 第7回 日本ではじめて、いちじくが到来した島 南蛮の香り漂う天草のスイーツとグルメ
温暖な気候の天草で生まれる極上オリーブオイル
国産オリーブというと、思い浮かぶのは小豆島産だが、ここ天草でもオリーブの樹がすくすくと育ち、注目を集めている。
実は、天草では昭和40年頃にも一度、オリーブの栽培が試みられている。だが、気候は適していたものの、当時は柑橘類が大ブーム。収穫までに時間がかかるオリーブは人気がのびず、栽培を断念してしまったのだ。近年、日本でもヘルシー志向により、オリーブオイルやテーブルオリーブが普及し、再び島産オリーブへの挑戦がスタート。現在、島内には、企業と個人を併せて数軒のオリーブ園がある。
訪ねたのは、島内最大のオリーブ園の「天草オリーブ園AVILO」。海を眺める山道をドライブして、小高い丘の中腹へ。たどり着いたのは、果実からオイルを絞る搾油場や、畑を一望するテラス付きの母屋が南欧情緒を漂わせる心地よい場所。ここでは、約1.8ヘクタールの畑で、10品種のオリーブを栽培している。
イタリアから技術者を招き、天草の気候に合う栽培法を考え、手さぐりでオリーブの栽培を始めたのは2010年のこと。収穫量はまだ少ないが、国産オリーブオイルにかける情熱は熱い。収穫は、手間と時間のかかる手摘み式を採用。オリーブの樹を揺らして果実を落とす簡単な方法もあるが、手摘みをすることで、果実に傷をつけずに収穫。酸化を防いでいるのだ。
オリーブの実や果実に含まれる成分(ポリフェノールやビタミンEなど)を最大限にオイルに凝縮するためには、果実の鮮度も重要。そこで、畑のすぐ隣に搾油場を設け、収穫してから 24時間以内にオイルを圧搾。こうして、国産ならではのフレッシュなオリーブオイルが誕生する。
2014.06.27(金)
文=芹澤和美