作家デビュー10周年を迎える寺地はるなさん。最新刊『リボンちゃん』は、街の小さなテーラーを舞台に、読む人の心をそっと解きほぐす物語です。全国の書店員さんから届いた熱烈なメッセージ、第一弾です!


 
 

紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん
夢があってもなくても、自分らしく生きていく、リボンちゃん。その姿に、心地良い、自由の風に包まれていくようでした。そして、無理をしすぎるのではなく、ちょっとの努力を積み重ねていく。悩みとまどいながらも、自分の気持ちに向き合い、正直に進んでいく。その様子に、固く結ばれていた、偏った常識や見識が、解きほぐれていきました。結んで、ほどいて、自分らしい心のリボンをまといながら、ゆっくりと新しい世界を開いていく、温かな希望が広がる物語。読み終えた後、ワクワクが込められた、新たな始まりの兆しを感じる、幸せな気持ちが満ち溢れました!

アバンティブックセンター寝屋川店 永嶋裕子さん
リボンのようにヒラヒラと、ほどいたり結んだり形を変えてもリボンはリボン。そんな風にいつか思えたら、そんな風にいつか生きれたら。柔らかいのに簡単に切れたり破れたりしないリボン。わたしも心にぎゅっと結びました。何かを変えようとか何かに抗おうとか誰かと比べるとか誰かを貶めるとかそんな気負いも気合いもない、だけど自分の中に、ラップの芯みたいに固くて簡単に潰されない、守るものを持ってる。リボンちゃんも加代子さんもえみちゃんも波瑠ちゃんも。みんなみんな。日常的に晒される悪気のない善意や偏見や差別に、それに振り回される自分への落胆にいつまでも足止めされるわけにはいかない。良いひとでなくても別にいいよね。自分の足で歩くのにそんなものは必要ない。ワゴンカーで、お店で、新しい職場で、学校で今日もどこかで心にリボンを結んでるひとがいる。わたしはわたし。胸に刻まれた本でした。

正和堂書店 猪田みゆきさん
リボンちゃん、という愛称からは女の子らしさや女性らしさをイメージするけれど、そうじゃない。自分の好きとか心の向く方へと本人なりのスピードでまっすぐ進むしなやかさの象徴だ。誰かの大切な心をラッピングするためのリボンになったり、エールを送る風になびくリボンになったり、きっとこれからもリボンちゃんは本人なりの生き方で知らずに人を励ましてしまうのだろう。

2025.07.18(金)