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自己啓発本ばりの役に立つ言葉だらけ

――この本には、そんな“中くらいのおじさん”ならではの人生訓もたくさんあって、おじさんならずとも共感する人は多いのではないかと思います。奥田さん自身は、自己啓発本を読むタイプなのですか?
いえ、全然。語り下ろしの部分(最終章「何者かになれなくても」)は、同世代の編集さんの質問に答えるような形で、僕の人生との向き合い方や考え方をお話させていただいたので、それっぽくなっているのかもしれませんね。
――(編集)本に出てくる「目的はできるだけ遠くに、目標はできるだけ近くに」という奥田さんのお笑い活動におけるスローガン、まったく同じことをビジネスコーチに言われたことがありますよ! これは自分で思いついたんですか?
ホンマですか! 僕の場合は、実体験からです。「目標」は例えば、「今日のライブで絶対ウケる」とかでいい。それを「M-1の決勝に行けるネタをつくる」にしてしまうと、あれこれ考え過ぎて結局どれも中途半端なまま時間だけが過ぎてしまうので。
「目的」は暗いトンネルのはるか先の方にある“小さな光の点”。とりあえず前に進むための方向を示してくれるもので、僕の場合は「漫才で何者かになる」です。そのためには、目の前の小さな目標をひとつひとつクリアしていくしかないんですよね。
――ほかにも「めんどくさいことを自分からやると自己肯定感が上がる」「後輩はセンスを教えてくれる人、先輩は技術を教えてくれる人、同期は方向を教えてくれる人」「(100点ではなく)努力して最高の80点を取りに行く」など、なるほど! という言葉がたくさんありました。酸いも甘いも噛み分けた奥田さんならではの言葉だと思います。
僕が何気なく言ったり書いたりしたことを編集さんが深堀りしてくれたんです。言葉でちゃんと説明することで自分を見つめ直すことができた気がします。
奥田修二(おくだ・しゅうじ)
1982年、兵庫県生まれ。2005年、よじょうと漫才コンビ「学天即」を結成。同年「M-1グランプリ」にてアマチュアながら準決勝進出を果たし、2007年より吉本興業に所属。2021年、コンビ名を「ガクテンソク」に改名。2024年には、『THE SECOND~漫才トーナメント~』にて優勝を果たす。趣味はゴルフ、雑学、アイドル、クレーンゲームなど。
奥田さんのポータルサイト:https://vir.jp/gakutensokuokuda

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2025.07.01(火)
文=伊藤由起
写真=佐藤 亘