“絵日記”のドラマ化に対する思い

――ドラマの撮影見学の様子も絵日記になっていますが、この絵日記シリーズがドラマ化されるお話を最初に聞いたときは、どんなお気持ちでしたか?
メディアミックスのお話は、過去にもいただいたことがあるのですが、私としてはずっと抵抗があったんです。言い方が難しいのですが、現実に起こったことを絵日記として出力していて、それがほかの人の手によって再構築されることで、私自身が混乱しそうな気がしてしまって……。なので、これまではお断りしていたのですが、長く絵日記を続けさせてもらって自信がついてきたのか、不安よりも「こんな経験ってできないよな」と興味のほうが上回ってきたのです。
それで、友人たちにも相談をしてみました。「私の絵日記ではあるけれど、あなたたちみんなの記憶でもあるから、私たちの手を離れて、ほかの人に作ってもらうのってどう思う?」と。そしたらみんな快く乗ってくれたので、ドラマ化をお願いすることになりました。どんなドラマになっても、絵日記を描くことには、いい意味で影響を受けないだろうなと思えたのも大きかったです。ドラマにしてもらうためにもっと面白いことをしなきゃ! みたいな考えにもならず、引いて楽しめる自信がついたのだと思います。
――現在進行系で描き続けているからこそ、慎重にならざるを得ない部分なのでしょうね。だからこそ、撮影現場を見学しながら不思議な感覚に陥っていたのも納得できます。

俳優さんのセリフなのに、やたらと気持ちがわかるんです(笑)。とはいえドラマとしてよりコミカルに、わかりやすくしていただいたり、エピソードをスムーズにつなげていただいたりして、ひとつの創作物として視聴者の立場で楽しませてもらうことができました。本当にお受けしてよかったと思える実写化でした。
――“前世からの友”のみなさんの反応はいかがでしたか?
ものすごく喜んでくれて、通話しながら一緒に見たりもしました。当たり前ですけど、私たちは実際の出来事を知ってるし、それぞれの顔も知ってるので、美しすぎる俳優さんたちが再現してくれているのが面白くもあり、二重、三重に楽しめました。
2025.06.29(日)
文=兵藤育子