――芸能界に入れたいとかは?

時東 ないです。私はないです。こんな大変な世界に入る必要はないなと思うので。好きなことを見つけてくれたらいいかなと思ってて。

ベトナムフェスが縁ではじまった学校建設プロジェクト

――時東さんは防災士としての活動だけでなく、チャリティーにも力を入れています。お父さんの影響もあったそうですね。

時東 パパが優しい人で、誰かを助けるとか、よく声もかけていて。例えば「あの人ちょっと車の運転が苦手そうだな」と見つけると、「運転代わりましょうか。バックやりますよ」って声をかけちゃうくらいで(笑)。

 タクシーの運転手をしていたんですけど、お年寄りの方のケアもしっかりしていたので、タクシー会社で賞状ももらってました。パパには「人に優しくすることってすごく大事なことだよ」と言われていて、小学校時代はボランティアでゴミ拾いをしていましたし、身体障害があるお年寄りの方の施設でのボランティアもしていました。

――2016年にはNPO法人と組み、ベトナムで学校を建設するチャリティープロジェクトも行っています。そもそもベトナムとはどういった縁があったのですか?

時東 きっかけは、日本で開催されたベトナムフェスへの出演です。そこからベトナムで開催されるジャパンフェスにも出演するようになったんです。

 ホーチミンでのジャパンフェスでは何万人という人たちがライブを見てくれたんですけど、現地に詳しい方に「ここに来られてる子っていうのは裕福な子たちなんです。山間部には満足に教育を受けられず、ベトナム語すら書けない子がいる」と話を聞いて。

 その子たちのために何かできないかなと思って、寄付も始めましたし、私のグッズを作っているTシャツ会社に、販売終了した新品Tシャツがあったので、実際にそれをもってベトナムの山奥まで行かせてもらいました。

――実際に現地に行かれたんですね。

時東 バイクで山道を行きました。その山道もみんなが思っている山道じゃなく、舗装もされていない道で、そこを泥だらけになりながら行きました。

 山間部の学校にも水道はないですし、トイレもないんです。そうすると例えばトイレに行ったら手を洗うんだよっていうルールがわからないので、それを教えるところから学校がしないといけないんです。

 だけど、水道が足りないので、井戸やトイレを寄付する。すると学校に通う子たちだけじゃなくて、周りの村の人もそこのトイレが使えたり、井戸が使えたりする。するとその場所が栄えるんです。

 学校を建てたり、井戸を作ったりする寄付をされている方もいると思います。でも、実際に現地へ行くと、学校や井戸が全く必要じゃないところに建っていることが山ほどあるんです。そして、そこはただの空き家になっているんです。実際に現地のボランティアの方にそうした場所を見せてもらいました。

2025.06.13(金)
文=徳重龍徳