

台湾には100を超える温泉があります。台湾に行ったら、温泉に入らないなんてもったいない! 1895年~1945年の日本統治時代に温泉文化が広がり、熱い湯に入れるのもうれしいところ。水着で入る温泉だけでなく、男女別に裸で入れる「日式」の大浴場や、温泉付きの部屋で自分好みに温泉を注いで楽しめるリゾートも多いのです。個性ある温泉とともに異なる民族文化や食文化も大きな魅力です。
今回の旅は、ちょっと特別です。台湾の南端部・屏東県(ピンドン)にある旭海温泉(シーハイウンチェン)の牡丹湾Villa(ムダンワンヴィラ)は、夢の続きへつながる入口があるという桃源郷がコンセプトの温泉リゾートです。
敷地の湖を囲んで建つヴィラ客室は19のみ、全てを忘れてリラックスできる1泊5食付きオールインクルーシブ型滞在とは、いったいどんな幸せが待っているのでしょうか。
■365日同料金で1泊5食オールインクルーシブ

台湾の新幹線・高鉄の南の終点「左営駅」から、宿の送迎車に乗って屏東県へ。南の果てのとんがり部分を横断して太平洋側へ出ると美しい海岸線が見えてきます。
原住民族・パイワン族の集落から山道を進むと、隠れ家温泉リゾート「牡丹湾Villa」に到着です。美しい色の湖と山の緑、木漏れ日がゆれる風景に癒されます。

「部屋の準備が整うまで、ランチはいかがですか?」。そういえば、この宿は、1泊5食オールインクルーシブとなっていました。5食というと驚きますが、昼食、アフタヌーンティー、夕食、夜食、朝食と、リゾートステイの全ての時間を幸せにする「ほしい時にほしい物」が用意されているのです。

屏東縣牡丹郷は、原住民族のパイワン族の郷であり、海、草原、森、温泉と豊かな自然に恵まれています。料理長もパイワン族出身で、地域の風土を感じられる体が喜ぶ料理を目指しているそうです。
地元野菜のしぼりたてジュースや、山の薬草が入った薬膳スープが、とてもおいしい。お腹の中心からほかほかと温まっていきます。旭海で朝獲れたばかりの魚の塩焼きや、野菜たっぷりの点心、炒め物も素材そのものの旨味がじわっと広がる優しい味わい。
2025.06.07(土)
文・写真=石井宏子