――村上さんは メンタルの変化があったんでしょうか。

村上 私は、一週間後に試合があると思うとその日が迫ってくるような感覚になったり、試合ではレオタードではなく重いウエットスーツを着ているような感覚で演技したり……。メンタルヘルスはパフォーマンスに大きく影響するんですよ。だから若い選手には、まず心を整えてあげたいですね。

性的なコメントに「自分がすり減るような感覚が…」

――近年では体操選手のレオタード着用が選手にとってプレッシャーになるのではないかという指摘もあります。

村上 選手同士で練習している時は全く気にならないんですけど、大勢の目にさらされると意識すると、やっぱり恥ずかしさはあります。ネットニュースなどで性的な感じで写真や記事が取り上げられたり、SNSでそういったコメントが直接届いたりすると、自分がすり減るような感覚がするんです。若い選手にとっての精神的な負担は計り知れません。

――東京五輪でドイツチームがレオタードではなく、足首まで覆われた「ユニタード」を着て試合に出場したのも大きな問題提起だったように思います。

村上 選択肢が増えるのは喜ばしいですよね。こうした動きによって、性的な記事や盗撮行為などが無くなっていけばと思います。ただ、レオタードスタイルの方が手足が長く見えて演技が映える、体型が美しく見えるというケースもありますから、その辺りはバランスをみて、慎重に考えていけたらと。

 対策として、透けない生地のレオタード着用の推奨、大会での写真撮影の規制などには体操協会全体で取り組んでいきます。

 あと最近ではやっぱりSNSのコメントですよね。自分の経験から言えることは、見ない、気にしないことが一番なんですが、そう簡単にはいかないですし。どうしても気になってしまうようであれば、自分の気持ちを話せる友人、コーチなど、相談できる身近な相手を作っておくのがいいんじゃないかと思います。もちろん、私もその一人でありたいですね。

撮影=松本輝一/文藝春秋

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2025.05.30(金)
文=吉井妙子