“時代を作った人たち”の本音に迫る対談企画「有働由美子のマイフェアパーソン」。今回のゲストは、俳優の今田美桜さんです。

難関は「土佐弁」?

 有働 現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』は、「アンパンマン」を生み出したやなせたかしさんと暢(のぶ)さん夫妻をモデルにした作品です。今田さんはヒロインの朝田のぶ役を務めていますが、セリフ量が多くて大変ではないですか?

 今田 もちろん量は多いのですが、夫・柳井嵩(たかし)役の北村匠海さんもかなりセリフが多いので、うまく分担できていると思います。

 有働 もともと台本を覚えるのは苦手ではない?

 今田 役によりますね。専門用語が多いとなかなか入ってこないですが、そうでなければ早く覚えられます。ただ、今回は土佐弁なので。

 有働 そうだ、ドラマの最初の舞台が高知県ですものね。

 今田 すべて方言というのは経験がなく、最初はひたすら読んで覚えようとしていましたが、今は音で覚える方がいいと気が付きました。

 有働 土佐弁ってどんな方言でしたっけ?

 今田 「〜やき」「〜しちゅうがよ」とか、語尾がかわいらしいんです。関西と九州の方言と標準語が混ざったような。文字だけ見て関西弁っぽいかなと思っていたら違った、というひっかけもあったり。

 有働 ひっかけ問題だ。

 今田 イントネーションは関西より九州の方が近いのかなとも思います。私が福岡出身なので九州っぽい分には問題ないのですが、必ずしもそうではないのが難しいところ。

 有働 土佐弁は、坂本龍馬的なイメージしかありませんでした。

 今田 「ぜよ」は意外と使っていないです(笑)。方言指導の先生によると、「ぜよ」はかなり昔の方が使う言葉のようです。皆さんが知っている土佐弁だからこそ、私のおじいちゃん役の吉田鋼太郎さんが、ここぞというセリフに入れるくらいですね。

2025.05.27(火)
文=今田美桜、有働由美子