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若さをキープするためには、笑顔が大事

――さて、いよいよ気になるところをお伺いしていきたいのですが、​若さを左右する筋肉とは、ズバリどの筋肉なのでしょうか?

奥田 顔の若さに関わるであろう筋肉は、まずは大頬骨筋(だいきょうこつきん)と小頬骨筋(しょうきょうこつきん)、そして目の周りの眼輪筋(がんりんきん)辺りです。

 大頬骨筋というのは、頬に走っている筋肉で、その上にあるのが小頬骨筋。筋肉って1本だけで動くわけじゃないので、ニコって笑うと両方とも動くんです。

――つまり、若さをキープするためには、笑顔が大事ということでしょうか?

奥田 そうですね。笑ったり喋ったりすると、顔の筋肉は動きますし、やっぱり笑顔は顔を若々しく見せます。逆に、不機嫌な表情をしていると、口角下制筋(こうかくかせいきん)という、口角を下げる筋肉が鍛えられて老け込んだ顔になります。だから若さのためにも、不機嫌にならないほうがいいですね。

 そしてもう一つ、首から胸に広がっている広頸筋(こうけいきん)も鍛えた方がいいですね。広頸筋は首に大きく広がる筋肉で、首だけにあるものと誤解されがちなのですが、実はあご辺りから始まっています。あごにぐっと力を入れると、首に筋が出てきますよね。広頸筋は、その筋の出るあご下辺りから鎖骨辺りまで続いています。広頸筋を鍛えると、あごのラインがはっきり出てきて若々しい印象になりますし、逆に、あごのラインがあご肉に埋もれていると、ちょっと老けて見えます。ですから、広頸筋も日ごろから意識しておくといいですよ。

――他に気をつけるべきポイントはありますか?

奥田 最近多いのは、スマートフォンによるたるみや目元の衰えです。スマートフォンを見る時にうつむいていると顔のたるみにつながりますし、スマートフォンを見続けているとまばたきの回数が減るので、眼輪筋が衰えます。

 私自身は目線を下げないためにスマートフォンを目線の高さまで持ってきて、背筋をピンと伸ばして画面を見るようにしています。この時に、首とあごが直角になるように意識すると、広頸筋もしっかり使えるんですよ。

――やはり日ごろの習慣として筋肉をしっかり使っていると、筋肉が鍛えられて画像にも表れるということでしょうか​?

奥田 そうですね。顔の画像は日ごろの診療も入れると、今までに4、5万人分くらいは見ているのですが、驚いたのが声優さん。筋肉がとても厚かったんです。特にどの筋肉がというのではなくて、どの筋肉もまんべんなく厚い。彼らは人一倍多く喋っているだけでなく、きっと同時に表情も作っている。映像を見て、役柄になりきって、顔も一緒に動かしているから、年齢を重ねても筋肉の厚さをキープできているのだろうなと思いました。

 あと、私は直接見ていないのですが、オペラ歌手の方の顔画像を見た先生が、顔の筋肉が厚いと驚いていました。こちらもやはり役柄になりきって、顔も一緒に動かしているのが、厚さをキープできている秘訣なのではないかと思います。

2025.05.30(金)
取材・文=にらさわあきこ
撮影=釜谷洋史