鬱陶しい梅雨の季節。ついつい頭に浮かぶのは、北海道の抜けるような青空、どこまでも広がる大地……。爽やかな新緑の季節にふさわしいスポットを、札幌で刊行されている人気のライフスタイル誌「poroco」に紹介していただきます。

大通公園ではグルメなフェスティバルが次々と

メニューの一例より、余市(よいち)町産の甘えびをたっぷりつかった冷製カッペリーニ。濃厚なえび味噌と、せたな町「ソガイ農園」の有機トマトソースのコクと旨みが後を引く逸品。写真奥は、新玉ねぎのスープと「更別きまぐれブルー」のムース。更別(さらべつ)村のチーズ工房で評判の高いブルーチーズを使用。

 札幌を訪れたら、必ず目にするのが大通公園。さっぽろテレビ塔があり、今となってはレトロでかわいらしい展望台からは、遠く向こうには大倉山ジャンプ競技場が見えます。

 冬の雪まつりは観光客でいっぱいになりますが、春から秋にかけては、グルメが楽しめるフェスティバルが次々に行われる場所として、札幌の地元の人がたくさん集まります。私たちの職場も近いので、ランチタイムや仕事帰りに出かけることもあるんですよ。春には「ライラックまつり」のワインガーデン、夏にはビアガーデン、そして秋には、北海道の収穫祭的な「さっぽろオータムフェスト」と、楽しいグルメイベントのメイン会場になります。

 この大通公園の近くには、イタリア語で“収穫祭”という意味の店名の「サグラ」というレストランがあります。オーナーシェフの村井啓人さんは、“北海道イタリアン”の先駆けといわれるイタリア料理店「テルツィーナ」(サッポロファクトリー・レンガ館)での修業を経て、イタリアへ渡りました。

食材の生産者に感謝したくなるようなイタリアン

大通の西8丁目にある小さなお店。満席になることも多いので、予約するのがオススメ。夜のコースは予約を、また、3,000円+アラカルトメニューで自在にオーダーしてもOK。

 食文化の豊かなイタリアで過ごしたことをきっかけに、札幌に戻ってからは、北海道の上質な食材をリスペクトしたイタリア料理を提供するように。えりも町「高橋ファーム」の『えりも短角牛』、足寄町「石田めん羊牧場」の羊肉、白糠町「酪恵舎」のチーズ、といった、自分の信頼する産地で自分の目と舌で確かめた食材を使います。北海道の各地といってもかなり広いのに、熱心に飛び回り、生産者さんと付き合い、食材の勉強もしっかりしています。

 美味しいイタリアン、というだけなら、たくさんのお店があります。でもこのお店のメニューには、美味しい食材が必ず使われているという安心感があります。それでいて、料理は飾り立てないシンプルなものばかり。火の通し方、塩の使い方にプロの技が光っています。写真では決して派手ではないんですが、食べてみると素材の味が開花して、うわっと声があがるんですよ。牡蠣など魚介の旨みが染みわたるリゾットも人気。「美味しい!」の感動につづき、「いい食材をつくってくれてありがとう」と生産者の人にも感謝したい気持ちになります。“収穫祭”は感謝祭でもあるのですね。

Sagra (サグラ)
所在地 札幌市中央区南1条西8丁目20-1 ライオンズマンション大通公園小六ビル1階
電話番号 011-219-4649
営業時間 火~土 ランチ 11:30~14:30(14:00ラストオーダー) ディナー 18:00~23:00(22:00ラストオーダー)、日・祝 17:30~21:30(20:30ラストオーダー)
定休日 月曜日
URL http://www.sagra.jp/

月刊「poroco」 (ポロコ)
1997年に創刊した、札幌の生活情報誌。20~30代女性をターゲットに、札幌のグルメ・ショッピング・ビューティ・イベントなど生活を豊かに楽しくする情報を発信。毎月20日発売、450円(税別)。北海道の書店・コンビニ・キヨスクや「北海道どさんこプラザ」各店でも発売中。
URLhttp://www.poroco.co.jp/

2014.05.30(金)
撮影=中嶋 史治(BLUE COLOR DESIGN)