
note、Voicy、インスタグラムで大人気のエッセイストである小川奈緒さんがこれまでの半生を経て身につけてきた伝え方のコツを1冊にまとめた『伝え上手になりたい』(小川奈緒/扶桑社)。同書から「はじめまして」の際に役立つ会話のコツを抜粋し、転載します。
自己アピール効果と場の打ち解け効果の両方に効き目がある2つのポイント

自己紹介にこの要素を盛り込むと、自己アピール効果と場の打ち解け効果の両方に効き目がある、とわたしが感じているポイントが2つ、あります。さて、なんでしょう? 答えは、「住んでいる場所」と「年齢」です。そんなこと? と拍子抜けするくらいシンプルですが、実践している人は、案外少ないのではないでしょうか。
ここ数年は、初対面の方と仕事でお会いするときでも、相手がこちらのプロフィールや近況をSNSなどで調べておいてくださり、おかげで自己紹介抜きでも打ち解けやすくて助かる、と感じることが増えました。でも、地域の交流や習い事、子どもの学校関係など、誰も自分のことを知らない集まりで、突然、自己紹介を求められる場面だってもちろんあります。そんなときは状況に応じて、この2つのポイントを盛り込みながら、サラッと自己紹介するようにしています。
まず、「住んでいる場所」を伝える効果に気づいたのは、現在暮らす千葉県松戸市に越してきたことがきっかけでした。
その前は、東京の世田谷区に14年間暮らしていました。ファッション誌の仕事は時間が不規則なので、仕事でご一緒する人も隣の渋谷区や目黒区などの都心や、そこへのアクセスがいい地域に住む人ばかり。だから当時は、住んでいる場所をわざわざ言う必要もありませんでした。
娘を出産後、実家のそばに暮らしながら子育てと仕事を両立していこうと、出身地の松戸に戻ったものの、引っ越して1年ほどはファッション誌の仕事も続けていたので、早朝集合のロケの日はとくに大変でした。
松戸の自宅から都心に出るのに電車で1時間以上かかるため、タクシーと始発を乗り継いで、なんとか朝6時に渋谷に到着、ハチ公前でロケバスに乗り込むのです。
世田谷に住んでいたころは、自宅にロケバスが迎えに来てくれたので、都心と郊外を行き来するのは思っていた以上にハードだな……という実感が、やがて働き方そのものの見直しにもつながっていくのですが、それはさておき。
2025.04.02(水)
文=小川奈緒