自ら年齢を明かす効用とは

 わたし自身が、自ら年齢を明かす効用を感じたのは、主に子育ての領域においてです。

 子どもが保育園や小学校に通った時期、日々の送迎や保護者会で周囲を見回すと、自分が一番年長かな、と感じることがよくありました。わたしには30代後半で出産した娘が一人いますが、地域には20代から30歳前後でママになっている人が多い印象。そんな中でも、この人とはなんとなく気が合いそう、と思った人と立ち話をしたとき、会話の流れでふと「わたしは◯年生まれで」と言ってみたところ、すぐに相手が「わたしは◯年生まれ。じゃあ、学年で◯個違いだね」「つまり、ざっくり同年代だね」と、一気に親しみが湧いたのでした。

 相手からは、少し年上と見えるわたしに年齢は聞きづらいだろうし、でも、年齢がわかるとプロフィールがはっきりして、ときには「きょうだいと同い年」といった接点が見つかることも。

 相手から興味も向けられていないのに、わざわざ自分の年齢を言おうとは思いませんが、知りたいのに聞けないのかな、という空気を少しでも感じたら、サラッと「わたしは◯年生まれ」と言います。このとき「◯歳」という言い方をしないほうがスマートで、同い年ではなくても「同世代」という感覚が生まれやすい気がします。

 もちろん同世代でも、世代が違っても、波長が合う人と合わない人がいます。それでもはじめましての場では、なにかしらとっかかりがあると、会話が盛り上がりやすいのは事実。その点、住んでいる場所と年齢を早めに伝え合うことは、高度な会話のテクニックも不要で、そのわりに心理的な距離をぐっと縮める効果が大きいように感じています。

伝え上手になりたい

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2025.04.02(水)
文=小川奈緒