冬と春、それぞれの季節の特徴は?

 季節によって、温度や湿度、環境の変化もあり、猫に起こる症状にはそれぞれ特徴があります。外(環境)からやってくる身体に悪い影響をもたらす因子を、東洋医学では「外邪・がいじゃ」といいます。

 外邪は口、鼻や皮膚などを通して体内に侵入し、病気を引き起こす原因になります。それらは季節によって違っています。たとえば

 春…風にあたるなど、急激な温度の変化によりもたらされる→「風邪・ふうじゃ」
 冬…寒さにより身体の冷えを起こす→「寒邪・かんじゃ」

 など色々な外邪があります。

 体調不良の原因が季節によって違ってくるのです。

 春は、日照時間が長くなり、猫にとって発情期でもあり、そわそわする季節です。また特に家から出ない飼い猫にとって、飼い主さん達の環境の変化などで、生活リズムが崩れ、ストレスを感じやすく、疲れやすい季節でもあります。

 人もそうですが、猫も花粉や舞ったほこりなどで目や鼻がぐしゅぐしゅするなどの症状が目立ちます。これは風にあたることや、体内に風がはいって気の流れが乱れる「風邪」によって起こりやすくなります。

 春は風がよく吹き、花粉などを運んできたり、風邪が体内に入ることにより、身体の気の流れをみだし、頭部に気が上りやすいことで、目や鼻の症状が起こります。

 さらに春は肝臓の機能が亢進したり、落ちやすいと言われています。肝は気血を全身に巡らす役割があり、肝の異常により「自律神経の乱れ」や、気血がのぼって「頭や首の異常」「イライラ、落ち着きがない」などが起こります。

 また肝臓は目との関係が深いので、「目のトラブル」にも注意が必要です。

 冬は寒さにより血流が悪くなり、身体の各部位が冷えることで様々な症状が出やすい季節です。「寒邪」により血流が悪くなった部位に痛みやしびれがでてきたり、お腹が痛くなって下痢になりやすかったりします。

 寒くなり水をあまり飲まなくなることで、尿が濃縮して結石がでてきたり膀胱炎になったりと、猫では特におしっこのトラブルが多い季節です。

 水分調節や成長などに関わる腎臓の働きが弱くなり「歯が抜けやすくなる」「腰痛などの運動器トラブル」「脳の異常」などが起こりやすいです。また、腎臓は耳との関連も深く「耳のトラブル」にも注意が必要です。

中桐由貴(なかぎり・ゆき)さん

獣医師・鍼灸師。アニマルケアサロンFLORA 医院長。 麻布大学獣医学部獣医学科卒(放射線学研究室)。日本ペットマッサージ協会 理事、日本メディカルアロマテラピー 動物臨床獣医部会 理事、ペット薬膳国際協会 理事、刮痧(グアシャ)国際協会動物施術部会 顧問、アニマルウェルフェア国際協会 理事。

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2025.02.15(土)
文=中桐由貴