「高校卒業まで夢がなかった」現在に至るまで

――どんなお話で盛り上がりましたか? 気になります。

 本当に思い出せない……中身がないんですよ(苦笑)。サウナ好きな人が何人かいたので、「どこのサウナに行くの?」とか。椿くんに関しては普段から料理をするらしくて、「今日は帰ってこれ作ろう~」とか言ったりしていました。

 でも21時とかに撮影が終わっているので、「え、今から!?」みたいな(笑)。そういう場合、僕は用意していただいたお弁当を持って帰って食べるんですけど、椿くんは持って帰らないんですよ。節制しているのかなと思って聞いたら「これから家で春巻作るんだ」とか! 「え、今から揚げ物作るの!?」とびっくりでした。なんかそういう……本当に他愛もない話が多かったです(笑)。

――井上さんは同世代の人たちとの現場も多く経験されていらっしゃるかと思います。人見知りゆえに率先して引っ張っていく、中心になるというタイプではないですか?

 作品の座組みやメンバーによって変わります。引っ張っていかないとと思うときもありますし、逆についていきたいと思うときもあるんです。プライベートの友達でも、いろいろなグループがあって。その時のグループによって、立ち位置が違うなと思います。気づいたら中心にいるなと思うグループもあれば、ほかの誰かを中心に楽しくワイワイやっているときもあるので、あまり決まっていないかもしれません。

 この作品では、4人が4人とも現場での温度感が一緒だった感じがします。誰が引っ張るでもなく、自由人な人たちの集まりでした。居心地よかったですね。

――ハルヒのような18歳から20歳の時期は、この先の人生や人間関係など、様々な悩みが生まれますよね。井上さんは同じような年ごろのとき、どのように過ごして、どんな悩みを抱えていましたか?

 その頃の僕は、まず夢がなかったです。高校卒業後、やりたいと思うことが本当になくて。周りには明確にやりたいことが決まっている人もいたので、そういう人は本当にキラキラして見えました。とにかくすごく焦っていたな……という記憶があります。だからふわふわしながら大学に通っていた時期でしたね。

――その後、俳優というお仕事と巡り会い、現在キャリアは6年目です。様々な作品に出演されていますし、ものすごく進化を遂げていらっしゃいますよね。

 ありがとうございます。やっぱり自分がやりたい、もっとできるようになりたいと思える仕事に出会えたことが、一番大きいと思います。今、本当にすごく楽しいですし、「もっとこんな役もやってみたい」とか「こんな世界も見てみたい」とか、たくさん夢があって。今はもう前しか見ていない状態というか。この職業に出会えたのが、一番のきっかけかもしれないですね。

――先ほどお話されていた学生時代のグループと、社会人になっても交流はありますか?

 そうですね。そういう友達と会うほうが多いかもしれません。この業界の友達も少しずつはできてきましたけど、またちょっと違うというか。彼らといると学生の頃の自分に戻れるので、そんな時間が貴重だなと感じています。

――そのグループ内で、井上さんはどういう立ち位置ですか?

 え~! 気づいたら引っ張っている感じかもしれないです。ごはんを食べに行くとかも、割と自分から誘ったりするので。「次どこ行く、どうする?」みたいに発する回数が多いかもしれないですね。

2025.02.20(木)
文=赤山恭子
撮影=鈴木七絵