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人と動物がともに生きていける未来に向けて

 希少動物の保護繁殖を通じた種の保存、それを支える調査研究、子どもから大人までの環境教育の場としての活動に取り組んでいる多摩動物公園。国際自然保護連合が作成するレッドリストによると、アムールトラも絶滅危惧種です。

 「多摩動物公園では人と動物がともに生きていける未来に向けて、野生動物や生物多様性の保全に取り組んでいます。

 人間は例えば冷房や暖房のように、自分たちが暮らしやすいように環境を変えて生きていきます。しかし、野生動物は自然環境の変化の影響を直接受けてしまいます。

 近年は、夏は猛暑、冬は暖冬の傾向にありますが、そういった気温の変化も生き物の暮らしに直結しているという意識を持つことが大事なのではないでしょうか。そして、なぜそうなっているのか、どのように対応すればいいのかなどを考えることも大切です」

 人間一人ひとりが与える影響は小さいかもしれませんが、できることをやってみる。日常の中で、4R(「リデュース=減らす」「リユース=繰り返し使う」「リサイクル=再生して使う」「リフューズ=不要なものを使用しない」)や省エネを心がけるほか、寄付などをしてみてもいいかもしれません。大好きな動物とずっと一緒にいられるように。少しでもいいので、環境を意識した生活をおくってみてはいかがでしょうか。

 動物園、そして飼育担当者が日々観察し、最新の情報を学び、飼育環境を模索して生まれてきた大切な命。愛らしいフタバの未来が明るいものになるよう、そしてこんなにも美しいアムールトラが後世までその姿を見られるよう、私たち一人ひとりができることを考えていきたいですね。

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2025.02.16(日)
文=高本亜紀
写真=松本輝一