この記事の連載
アムールトラ<前篇>
アムールトラ<後篇>

CREA WEBでは「猫」特集が今年も好評公開中です。今回は、猫科の動物として多くの人に愛されるアムールトラに会いに、多摩動物公園にお邪魔しました。前後篇合わせて32枚の貴重な撮り下ろしや誕生時の写真とともに、ぜひお楽しみください。
2024年、東京都多摩動物公園では新しい命がさまざまに誕生しました。4月生まれのアムールトラ・フタバ(オス)、9月生まれのインドサイ・デコポン(メス)です。同年7月には、アジアスイギュウのさち(メス)も誕生し、3頭ともにすくすくと成長しています。
すくすく育つ、アムールトラのフタバ

到着後、まず向かったのはアムールラトラの放飼場。ガラス面に近づくと、真冬とは思えない暖かい日差しの中、地面で牛骨にかぶりつくフタバの姿がありました。生後8ヵ月(取材時)とあって、すでに体は随分と大きくなっているよう。アムールトラの子どもはたれ目に見える印象がありますが、フタバも目元がより愛くるしさを増しています。

お母さんの「イチ」は、右隅で目を閉じてうとうと。フタバは牛骨についている肉を舌で舐めてそぎ落としたり、それ自体を噛んだりと夢中。しばらくすると自身の後ろにあった高い台の上にくわえて上げて、再び牛骨と向き合います。
放飼場は頑丈な檻とガラスで囲われているため、近くで観察可能。耳を澄ますと牛骨を噛み砕いているのか、肉を引きちぎっているのか、ブチッブチッという音が。牛骨を押さえる前脚も大きく、幼くても猛獣であることが実感できました。
少し経つと、フタバはイチの元へ。背中の辺りを舐めてスキンシップすると、イチも顔を上げて優しく受け入れます。再びフタバが台の上へ移動すると、イチもフタバの後ろに移動。警戒心からなのか、来園者を静かに見つめていましたが、その後、陽気に誘われるように2頭そろって、うとうとと眠りにつきました。
2025.02.16(日)
文=高本亜紀
写真=松本輝一