婚活中、ハッと夫を見て「こいつじゃないか」

新川 うちの夫も私の面白いところがいいようです。夫は学生時代から私に好意を持っていたらしいんですが、つき合いだしたのは就職してから。彼とは大学、大学院、弁護士としての就職先も全部一緒で、就職先で同じ案件に入った時に仲良くなったんです。それまで夫のことは無口で地味なやつだと思っていました(笑)。

 私は当時、結婚に憧れはなかったけれど、長くつき合える恋人が欲しくて婚活していて。男性に求めるのは、(1)私の仕事を応援してくれること、(2)交友関係が深くて狭いタイプであること、(3)休みの日は家でゴロゴロしてるタイプであること。この3つで、ハッと夫を見て、こいつじゃないかと(笑)。

――それで事実婚を選んだ。

新川 そうですね。夫と一緒にはいたいんですけど、それを国に申告する意味がわからない。婚姻届は出さず、一緒にいればいいと思っていたんですが、夫が「社会的に説明できる関係になりたい」と言ったので、それなら事実婚しますかと。

 名字も変えたくなかったし、お互い法律家なので、例えば相続ができないなら遺言書を書くとか、事実婚のデメリットをカバーできるスキルがあるから怖くない。弁護士同士って事実婚のカップルが多いんです。普通に子育てして、円満な家庭を身近に見ていたので、抵抗感なく事実婚を選びました。

 でも「名字を変えたくない」という話をしたら、当時の同僚に「名字を変えてくれる女の子の方がモテると思うよ」と言われて、うるせーと思って(笑)。事実婚と聞くと、ちょっと文句をつけたいという人は結構いますよ。

宮島 名字のことで言うと、私は旧姓と現在の本名の名字と、ペンネームの宮島と、3つの名字があります。旧姓は父の名字で、今の本名は夫の名字だから、ようやく自分の名字がついたように感じているんです。子どもの行事で「宮島です」って言いそうになるほど、宮島を名乗る回数が増えました。

男性が読むのと女性が読むのとでは、感じ方が違うのかも

――『婚活マエストロ』の連載中、読者の反応はどうでしたか。

宮島 興味深いのは、一部の男性からは「つらい」という感想をもらうんです。

新川 え、噓。つらい?

宮島 書店員さんが、健人のこじらせっぷりがつらかったとXに書いていた。もう1人、他社の担当編集の男性が、「10年後の俺を見てるようで、しんどかったです」と。私としては意外でした。全然そんなふうに書いていないのに。男性が読むのと女性が読むのとでは、感じ方が違うのかもしれない。

 その編集者は、「ああやってミニマムに生きていけたらいいのに」みたいなことも言っていた。

2025.01.26(日)
文=内藤麻里子