婚活パーティーの運営が面白いんじゃないか

――今回、宮島さんは『婚活マエストロ』で結婚の入口をお書きになりました。なぜ結婚をテーマにしたんでしょうか。

宮島 『婚活マエストロ』に関しては、完全に編集者のオーダーです。担当編集者が婚活パーティーを主催する会社でバイトしていた時の話をしてくれたんですが、それが面白かった。そこでパーティーにフォーカスを当てました。婚活というより、婚活パーティーの話なんです。だから、「新感覚の婚活小説」と言っています。

新川 婚活の話で40歳の男が主人公だと聞いたから、その男が婚活をする話だと思うじゃないですか。ところがそうではなく、婚活パーティーの司会をするというから、そんな切り口思いつかないよって。

宮島 担当編集者がバイトしていた会社は、婚活パーティーで東京を元気にしようとしていたらしいです(笑)。小説に出てくる会社のように、ホームページは古いし、パーティーでは、キーボードで効果音を弾くところまで司会者一人が何もかもやる。それを聞いて、これは運営視点が面白いと思いました。

――秀逸なのは、健人が婚活マエストロの鏡原さんとサイゼリヤに行って、普段は食べないデザートをオーダーする場面。カップルになる意味の描写が最高でした。

宮島 書いて自分でもびっくりしました。ストーリーもまさかこういう展開になるとは、最後まで書かないとわからなかった。

新川 リズム派の人はそうなんですよ。私もそれです。このキャラはこうだろうなって、書いているうちに自然にわかるんです。

宮島 ライブのような感覚(笑)。1行書いて、次の1行はこれだみたいな感じで書いています。

離婚弁護士を登場させればいい

――一方で、新川さんは離婚事件を専門に扱う弁護士の松岡紬が主人公の『縁切り上等!』で、結婚の出口を書かれたのはなぜですか。

新川 元々は恋愛小説を書きたかったんですね。でも、新潮社さんにそう言ったら、流されて(笑)。「リーガル(法律もの)ですかね」と言われ、じゃあリーガルで恋愛が絡むとなれば、離婚弁護士を登場させればいいなと。

2025.01.25(土)
文=内藤麻里子