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“頭脳の神”を祀る修験道の総本山へ! 花見の名所の𠮷水神社も

 吉野山の入口である下千本まで下りてくると、参道はたくさんの商店で活気づいている。その参道から少し脇に入ったところにあるのが、𠮷水神社(よしみずじんじゃ)です。

 𠮷水神社はもとは吉水院とよばれ、金峯山寺の格式高い僧坊(僧侶の住む建物)でしたが、明治初期の神仏分離令によって後醍醐天皇、楠木正成公、吉水宗信法印公を祭神とする神社となりました。

 また源 頼朝に追われた源 義経が内妻の静御前、弁慶らとともに身を隠した場所としても知られており、境内には弁慶が指で岩に釘を打ち込んだとされる「弁慶力釘」も残されています。

 さらに𠮷水神社の境内には吉野山の中千本、上千本が一望できるスポット「一目千本」があります。あまりの美しい景観に、1594年に豊臣秀吉が開催した大規模な花見の際は、その本陣として選ばれたほど。吉野山が桜色に覆われる季節がきたら、必ず訪れたい場所です。

 𠮷水神社をあとにし、黒滝~吉野山ルートのクライマックスとなる修験道総本山の寺院「金峯山寺(きんぷせんじ)」へ。

 日本古来の山岳信仰に神道や仏教などが融合し、独自の宗教として発達したのが修験道。金峯山寺は、その開祖であり超人的な能力(!)を持っていたとされる役行者(えんのぎょうじゃ)によって創建されたと伝えられています。

 また蔵王堂から西側約500段の階段を下りたところにある金峯山寺の塔頭の一つ、脳天大神・龍王院は「吉野の脳天さん」と親しまれ、首より上の病気に霊験あらたかで、入試合格や病気全癒、商売繁盛のご利益があるとか。金峯山寺を訪れたら、ぜひこちらにも立ち寄りましょう。

奥深い自然と古社・古刹を一日で堪能 黒滝~吉野を探訪しよう

 奈良の大自然の深部と、脈々とつづく歴史の芯部に触れられる黒滝~吉野をつなぐクラシックルート。人が少なく、静かに旅を楽しみたい人には絶好のルートで、見どころ豊富ながら一日で踏破できるちょうどいい長さも魅力です。

 かつて命がけで修験者が歩いた山岳信仰の聖地を訪れ、彼らが見たであろう景色を反芻しながら旅をする。そんなディープでロマンあふれる奈良の道に、あなたも一歩足を踏み入れてみませんか?

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2025.02.05(水)
文=平野美紀子
写真=三宅史郎