まだまだあるフェミニズムドラマ
去年の末から今年の1月まで放送されていた『SHUT UP』(テレビ東京)というドラマは、インカレサークルを立ち上げた一流大学の男性と、学費をバイトで賄い、ギリギリの暮しをしている外部の女子大生が望まぬ妊娠をしたことから始まる。女性の貧困、格差社会、そして、現実にも古くは早稲田大学のスーパーフリー事件や、有名大学のサークルの組織的な性暴力事件などを思わせる世界を描き、その問題点にまっこうから挑んだドラマであった。
こうしたフェミニズムを描くドラマは、ここに挙げたものだけではない。『虎に翼』脚本家の吉田恵里香にしても、2020年には『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の中では、男性と男性の恋愛において、性的な行為の前には、お互いの同意がいるのだということを描いていた。また同ドラマの中には、アロマンティック・アセクシャルのキャラクターが登場して、それが『恋せぬふたり』(NHK)や、そして『虎に翼』へとつながった。吉田もまた、フェミニズムドラマの系譜の中で、次々とドラマを生み出している作家なのである。
『若草物語』に限らず、これからもさまざまなドラマにフェミニズムは描かれるだろう。話題にならないとなかなか一般的なところまでは届かず、日本のドラマには、フェミニズムが描かれないと嘆かれることも多々あったが、『虎に翼』が注目され、今後もますますこうしたドラマが作られることで、フェミニズムに関心がなかった人にも届き、自分の苦しさを救うヒントがあるのだと知る機会になればと願う。
2024.11.20(水)
文=西森路代