女子部の仲間である山田よね(土居志央梨)は、普段からパンツスーツなどを身に着け、言葉遣いにしても他の女学生のような所謂「女性らしい」(と思われているような)ところがない。また、「私は男になりたいわけじゃない。女を捨てたかっただけだ。自分が女なのかと問われれば、もはや違う。恋愛云々は、男も女も心底くだらないと思っている人もいる」とも言っている。
花江(森田望智)は、猪爪家に嫁にきて寅子の義姉になり、家の中から家族を支えている。寅子とは対極であるが、ときおり、寅子たちのようにバリバリと外で働く女性と自分を比べて、自分の存在意義に悩む様子がリアルであった。しかし、女性が総じて「外」で「活躍」をすることだけが正しい生き方ではない。
フェミニズムは一人一派と言われている。フェミニズムの考え方のベースは同じであるが、その表出の仕方は違う。『虎に翼』では、いろんな女性の生き方があり、その悩みはそれぞれであると描くことで、様々なフェミニズムのあり方を示していた。
では、それに続くドラマとして期待されている『若草物語』はどうだろうか。
四姉妹それぞれのドラマと人生『若草物語』
このドラマは、タイトルの通り、ルイーザ・メイ・オルコットの『若草物語』を原案にしたドラマである。脚本は『家売るオンナの逆襲』『悪女(わる) ~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』の松島瑠璃子。
主人公はドラマの制作会社で働く次女の町田涼(堀田真由)だ。涼もまた、寅子のように疑問を持つことが多く、おかしいと感じたら、すぐに主張するタイプである。
高校時代には、三女の衿(長濱ねる)と電車で通学している時に、車内に婚活、ダイエット、脱毛の広告があふれていることに対して疑問を呈す。仕事の現場でも同様で、涼が担当するドラマの大物脚本家・黒崎潤(生瀬勝久)から、「どんどん恋しないともったいない」などとアドバイスされると表情を曇らせる。
2024.11.20(水)
文=西森路代