若いアーティストたちがイズニクタイルに新風を吹き込む

 一度は衰退したイズニクのタイル産業だが、近年は若いアーティストたちにより、徐々に復活中。イズニクタイルの特徴は、なんといっても、深い蒼と朱色で色付けされた独特の美しさ。アーティストの手先で、まるで流れるように描かれていく紋様に感心してしまう。

ぶらりと入ったタイル工房では、若き女性アーティストが絵付けの真っ最中。入口の看板もタイル製。

 繁華街(というよりも、単なる商店街)には、タイルショップや陶製のアクセサリーを売る専門店もある。観光客も多いのだろうが、店の人たちは押し売りするでもなく、とてものんびりとした感じ。はにかみながら話しかけてくれるのが、またいい。

 通りには、焼き栗やミカン、シミット(ごまパン)の屋台も並ぶ。写真を撮りながら歩けば、「これ食べなさい」「これ持っていきなさい」と、屋台のおじさんたちからいろいろなものをご馳走に。私も、短い商店街を歩くわずかな間に、お腹と心が満たされてしまった。

ミカンにシミットにヨーグルト。商店街のおじさん、おばさんにはたくさんご馳走になった。
丘を上っていくと、見晴しのいい一角が。深呼吸する彼女の後ろに広がるのは、一面のオリーブ畑。

 この村の丘陵地に広がるのは、一面のオリーブ畑。街中にはオリーブオイルの専門店も何軒かあり、焼き立てのベーカリーにつけて食べるオリーブオイルが絶品だった。イズニクタイルの美しさにも劣らない緑は、この街の宝なのかもしれない。

芹澤和美 (せりざわ かずみ)
アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.serizawa.cn

Column

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2014.04.22(火)
文・撮影=芹澤和美