私は本書以降、投資や資産運用についてあまり書いていないが、それはこれが(一定の制約はあるものの)普遍の法則だからだ。そしていまでも、ほとんどの日本人(臆病者の投資家)にとっては、ここで書いたことを理解していれば、それで十分だと思っている。

 なお本書の親本では、世界市場に投資する方法として「MSCIコクサイ・インデックス」に連動するファンドを推奨したが(当時はそれしかなかったのだ)、その20年間の年平均リターンは約11%だった。

 2006年にこのファンドを100万円購入すると、現在は約730万円と7倍以上になったはずだ。毎月5万円を積み立てると、(積立て期間を220ヶ月として)元本の1100万円が約3500万円に、毎月1万円の積み立てでも元本の220万円が約700万円になっている。

 投資は結果がすべてで、「大損したけれどよい投資」というものはない。読者に有益なアドバイスができたことをよろこばしく思う。


「新版 まえがき」より

新・臆病者のための株入門(文春新書)

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2024.11.07(木)
文=橘玲