シンプルな言葉を良しとする「勇気」

 糸井さんは「素直すぎる」と、同業者に褒められたコピーがあるという。『魔女の宅急便』の「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」だ。

「(コピーライターの)谷山雅計さんにこのコピーはあまりにも普通すぎて、私には思いつけないと言われました(笑)」

 一方で、同じくジブリ作品『もののけ姫』のコピー「生きろ。」は“直球”にみえて大変化球なのだという。

「『生きろ。』は大変化球。なぜかというと『生きろ』と命令する人はいないんですよ。ボールは自然落下していきますから、“直球”って上に回転がかかった変化球なんですよね。(つまり、コピーライターは)突き詰めたシンプルな言葉を『これでいいんだ』っていう判断をするのが仕事なんでしょうね」

 ほかにも、糸井さんが発起人のイベント「前橋BOOKFES」の裏側、「ほぼ日手帳」スタート時の失敗談、小西氏の新刊『すごい思考ツール』の話題まで語り合った。

文藝春秋 電子版」では、糸井氏と小西氏の対談「トップクリエイターの『すごい思考ツール』」「『アイデアと企画』が何よりも大切な理由」のフル動画を配信している。テキスト版「“マネタイズ大王”にご用心」も公開中。

2024.10.26(土)
文=「文藝春秋」編集部