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断崖に吸い込まれそうな大迫力の爆裂火口

 数百年前から1万年前まで火山活動を繰り返していた硫黄岳は、その名残である爆裂火口が見られることで有名です。長さは直径約1㎞、深さは約550m。

 火口の縁を歩きながらおそるおそる下を覗き込むと、爆発によってえぐれ、むき出しになった山肌が。その圧倒的なスケールと自然の畏怖に、つい目が惹きつけられます。

 残念ながらしばらく待っても靄は晴れず。でもそんな思い通りにいかないことも、登山のおもしろいところだと星野さんは言います。

「山に登ることは、大小さまざまなリスクをつぶしながら、自分の思い通りにならない自然と向き合うこと。そこには思った以上の没入感があって、日々の悩みからいったん離れることができます。心健やかに過ごすためにも、そういう時間が私には必要だと思っています」

2024.10.23(水)
文=平野美紀子
撮影=深野未季
スタイリスト=永田哲也