「化け物どもの青春!」と書かれた阿部さん直筆の色紙にはものすごく納得してしまいました。

阿部さん直筆の色紙
阿部さん直筆の色紙

 奈月彦の山内の未来を思う言動や、覚悟を決めて進むべき道を決断した長束の思い、それが雪哉の行動と合わさりどう進んでいくのか、俄然続きが気になってしょうがありません。

 ちなみに八咫烏シリーズきっての化け物、路近の行動原理がやっと理解できるぞと読み進めたのですが、最終的に「やっぱりこいつ怖い」と思ったことをここに記しておきます。暴力ダメ絶対。

 さて先にお伝えしました通り、書店員は発売日前にゲラを読ませていただけることがあります。

 八咫烏シリーズは特にこのゲラが重要で、各書店の店員はこのゲラの内容をもとに店頭装飾の準備を進めます。八咫烏シリーズは山内のイメージがしっかりとしていますし、名司生さんの美麗なイラストだけでも店頭では目を引くので、その世界観を壊さず引き立てられるよう飾りつけをするのは書店員の腕の見せ所でもあります。

 ミニ山内を手作りしてしまったり切絵の飾りを作成したり、そんな他書店の素敵な飾りつけを見るのも毎回楽しみで、店頭装飾コンクール開催時の画像は今でも時々見返してしまうほどです。見たことのない方は是非とも検索していただきたい。感動モノの芸術的な飾りつけがこれでもかというほどご覧いただけます。

 あいにく私は芸術的センスをどこかに落としてきてしまった人間なのですが、それでも八咫烏シリーズへの思いを何とか伝えたいので、ゲラを読んだイメージとアイデアで勝負です。幸い最近の一〇〇円ショップには飾りつけに必要なものが沢山そろっています。四季折々の造花、雪を表現するための綿、いろいろな緑を使いたいとマスキングテープや模造紙なんかを用意し、絵心のあるスタッフに八咫烏の絵を描いてもらってはコピーして増殖させ、紫陽花が欲しくなれば折り紙を皆に配ります。自分の不器用さは人海戦術で何とかするのが当店流!(わけもわからず手伝ってくれた同僚の皆ありがとうございます)

2024.10.16(水)
文=山口 奈美子 (書店員 三省堂書店有楽町店 売り場担当)