「そば処ながみ」のつゆは出汁のうまさと返しのバランスが抜群だ

 平和台の一帯は今まで歩いてきた中でもっとも発展している地域のようにみえる。メトロ有楽町線・副都心線の駅がすぐそばにあることもあり、交差点で待つ人も多い。「そば処ながみ」にさっそく入店し「天玉そば」(490円)を注文。店主の方に店の歴史などを聞いてみた。

 店は昭和60(1985)年頃の創業である。先代から引き継いで今は二代目が切り盛りしている。創業当時は環八ではなく池袋谷原線の方に面していたのだが、道路拡張などによって、交差点の真正面に立地することになったとか。近くにはヤマダ電機やライフもあり人の流れも多いという。この日も常連客が次々と入って来る。

 提供するそばは仕入れの茹で麺だが、天ぷらはすべて自家製で、日によって多種がそろう。つゆも自家製で昔から作り方を変えていないという。つゆをひとくち飲んでみる。

 出汁のうまさと返しのバランスが抜群だ。天ぷらは揚げ置きだがカリッと揚げられており、つゆがしみると一層うまさを増していくタイプである。1時間ほど歩いた後の温かいそばはまた格別だ。

 環八通りに立ち食いそば屋がいくつあるか調査している、と店主に告げると「そんな面白いことしてるのかい! うちは立ち食いじゃないけど大衆そば屋だからカウントしていいよ」と大いにウケてくれた。しかも「ここから南側はないんじゃないのかなあ…」不穏な言葉もいただいた。

 

そば屋がない...炎天下をひたすら歩く

 「やはり熱中症対策には、アツいそばつゆが一番だ」と呟きながら、つゆを飲み干し店を後にした。いい休憩時間だった。平和台からは淡々と歩いていく。すぐに「ヤマダ電機平和台駅前店」、さらにステーキの「ビッグボーイ練馬平和台店」、そして「丸亀製麺環八平和台店」が現れた。

 さらに「はま寿司」がみえてきたところで、本線は「練馬春日町トンネル」に入り、大江戸線練馬春日町駅を通過する。このあたりは側道のためか飲食店はほとんどない。そして目白通りに向かってまた高架構造になる。とにかく、トンネルと高架の連続で外食施設はほとんどない。ただ炎天下をひたすら歩くのみ。

2024.10.18(金)
文=坂崎仁紀