2年半前、予防接種を受けた際に手足が痺れ神経痛になってしまった。

 リハビリでもしようと思い、何か良い企画がないかと考えていた時、ふとあるアイデアが降りてきた。「環八通り沿いに立ち食いそば屋は何軒あるのか?」

 環八(東京都道311号環状八号線)とは、東京都大田区羽田空港から北区赤羽に至る半円の環状道路だ。「東京都市計画道路幹線街路環状第8号線」に由来し、その構想は大正12(1923)年の関東大震災後の「大東京都市計画道路網」に始まる。昭和21(1946)年の「戦災地復興計画方針」で決定され、高度経済成長期に工事は本格化。平成18(2006)年に全線開通となった。

 環八と聞けば主要幹線道路を短絡する便利で重要な幹線道路で、沿線には大きな工場やショッピングモールなどがあるのだろうと想像していた。それなら立ち食いそば屋もあっていいはずだというわけである。正直、環八を意識的に散策したことはあまりなかったので、沿線にはどんな街並みが続いているのかも大変興味があった。まだ残暑が続く9月、計画を実行することにした。

環八の歩き方・実施方法

・赤羽岩淵から出発して、そのまま環八の内側(羽田方面)の道路の歩道を歩く。
・高架やトンネル部分は側道を歩く。
・脇道に面した部分にある店はカウントしない。
・何日かに分けて終点の羽田付近まで徒歩で移動する。

 9月4日、午前10時過ぎ、晴れ。JR赤羽駅に降り立った。実は一人で歩くのも心細いと思い、友人のB氏に連絡。「赤羽から立ち食いそばを食べる散歩をしないか?」と言葉巧みに誘い出すことに成功した。

 赤羽岩淵に進む。そして北本通りから都道311号線になる交差点に到着した。ここが1日目のスタート地点である。

 スタートすると6分後に、京浜東北線・東北本線の高架「環状8号線架道橋」が現れる。しかし、この辺りは通常の広い道路という程度で飲食店があるわけでもない。人はほとんど歩いていない。スタート地点から1キロほど進んだ所に、ようやく「からやま北赤羽店」、「すし銚子丸赤羽店」が現れた。北赤羽付近はマンションなどが多く落ち着いた雰囲気だ。しかし、立ち食いそば屋はない。

 

 浮間中央通りの起点となる交差点を過ぎると「NISSAN販売店」などが現れて活気が出てきた。起点から2.6キロまでくると、「くら寿司」や「ヤマダデンキ」などが入るショッピングモール「セブンタウン小豆沢」が現れた。その反対側には「とんでん」もある。そして起点から3キロの所が、国道17号中山道との大きな交差点だ。さすがに車の通行量が多い。

2024.09.26(木)
文=坂崎仁紀