愛子さま—“良家のお嬢様スタイル”

 愛子さまは、2024年5月に単独公務として、公文書館の特別展を視察されました。

 白のジャケットと膝下丈のスカート、アクセサリーは女性皇族の定番であるパールのネックレスとイヤリング、そしてブローチを合わせていらっしゃいました。

 今年3月に大学を卒業され、まだ一年も経っていない中で、愛子さまは公務でのファッションを雅子さまに相談しつつ、模索されているのではないでしょうか。

 非の打ちどころがない良家のお嬢様スタイルで、好感度が高く上品なコンサバファッションと言えるでしょう。

 この時、愛子さまが持っていらっしゃったバッグは、22年前に雅子さまが公務に出席される際にお持ちだったものと同じです。

 母・雅子さまが愛用されていたものを、娘の愛子さまもお使いになったことから、見た目の装いだけでなく、皇室の一員として公務にのぞむ際のお気持ちも、確実に受け継がれていることを感じます。

女性皇族のファッションマトリックス

 さて、雅子さま、紀子さま、佳子さま、そして愛子さま、それぞれのファッションを個性として捉え、これを以下のマトリックスで位置付けすると面白い結果になりました。

 雅子さまはエレガントでありながら、割と多く目にするパンツスタイルは、それまでの女性皇族にはあまり見られなかった、イノベイティブ(革新性)を実感させてくれます。

 紀子さまは美智子さまに倣って、典型的な皇室スタイルの伝統を守りつつ、エレガントさを両立しようとされているのではないでしょうか。

 佳子さまは上手にトレンドを取り入れながら、一般の若い女性たちが皇室ファッションに親しみを持つことができるよう、それまでの女性皇族にない、大胆で華やかな装いを好まれているのかもしれません。

 愛子さまは、まだファッションに関して情報が少ないものの、今のところ佳子さまとは真逆の保守的な良家のお嬢様スタイル。

 まだ成年皇族となって3年目でいらっしゃるので、最初は従来の皇室スタイルに従い、これからチャレンジや工夫を重ねて、ご自分なりのファッションを見つけていかれるのではないでしょうか。

つげのり子(つげ・のりこ)

放送作家、ノンフィクション作家。2001年の愛子内親王殿下ご誕生以来、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)などがある。

2024.10.04(金)
文=つげのり子