この記事の連載
●男女が仲良く、もっと生きやすくなれば
――マンガを描いていて楽しいのはどんな時ですか?
谷口 内容ができあがっていて、海外ドラマを流し見しながら作画作業しているときですね。
――やっぱり海外ドラマ、お好きなんですね。
谷口 マンガを描く上でいろいろ影響を受けていると思います。たとえばフェミニズムについて考えるようになったのも、ネットフリックスなどをよく見るようになってからですし。『NYガールズ・ダイアリー』『セックス・アンド・ザ・シティ』などから、女の人はもっと強く主張していいんだと学びました。
――登場人物が思ったことをはっきり言葉にするのは、谷口先生の作品の特徴になっていると思います。
谷口 人と関わる上では本当に思っていることを言わないとダメだなぁと。ケンカしたとき「腹がたつから言い負かしたい」ではなく、「これが悲しかったからもうしないでほしい」みたいに具体的に伝える努力をしないといけないんだろうなと思います。
――だから、作品の中でも登場人物たちはしっかりやり合ってるんですね。
谷口 究極的なことを言うと、戦争をなくしたいんですよ。戦争が話し合いで解決できたらどんなにいいだろうと子どもの頃から思っていました。そんなに単純ではないとは思いますけど……。言葉って難しいですしね。本当に思っていることを探し出すのは難しいから、作品を通して「こう思ってたのかも」「私はこっちの意見かも?」というバリエーションを提示できたらいいなと思っています。戦争が話し合いで解決できたらどんなにいいだろうと子どもの頃から思っていました。
――これから描いてみたいテーマは?
谷口 女性が生きやすくなるよう努力すると同時に、男性も生きやすくなるように……みたいなことを考えています。お互い歩み寄っていかないとしんどいですよね。男女、もっと仲良くなってほしいな、とか。
――いわれてみれば……男女って実はあまり仲良くなっていないですね。
谷口 SNSでもしょっちゅう「男vs女」みたいなバトルが起こってますし。知り合いではない人にも、もう少しやさしくなれるようにならないかと。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
谷口 この「CREA夜ふかしマンガ大賞」は、選考委員の方々がそれぞれ丁寧に考えて「いま本当にこの本を読者に届けたい」という気持ちで発信してくださっているなと思っていました。第1位に選んでいただけてとても感謝しています。作品を読んでくださったみなさま、編集部へのお手紙はもちろん、SNSでもマンガアプリや電子書籍ストアのコメント欄でも感想の言葉をいただけるとうれしいです。励みになります!
谷口菜津子(たにぐち・なつこ)さん
神奈川県出身。Web、情報誌、コミック誌等で活動。『教室の片隅で青春がはじまる』(KADOKAWA)、『今夜すきやきだよ』(新潮社)では、多様性を柔らかな筆致で描いたことに対し、第26回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。現在、comicタント(ぶんか社)にて『じゃああんたが作ってみろよ』、webアクション(双葉社)にて『まめとむぎ』を連載中。
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
谷口菜津子 ぶんか社 各880円 既刊2巻
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CREA夜ふかしマンガ大賞2024
2024.09.14(土)
文=粟生こずえ
写真=平松市聖
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