この記事の連載
- クァク・ドンヨンインタビュー前編
- クァク・ドンヨンインタビュー後編
財閥の息子を演じる秘訣
――クァク・ドンヨンさんは、いろんなドラマで財閥の息子だとか、会長だとか、お金持ちの役というものを演じることが多いと思うんですが、そこでもやはり同じことを繰り返さない努力をされているのでしょうか。
そうですね。一緒に働いているスタイリストさんやヘアメイクさんに、いろいろと見た目から変えてもらうというようなこともよくしています。金持ちというと一般的にやはりスーツをビシッと着て、髪もちょっとオールバックにしているようなイメージがあると思うんですけれども、そういった先入観と言いますか固定観念をうまく利用したり、反対にその固定観念を避けるということをしています。
――そうやって役にいろいろ変化をつけて演じることで、最初はあまり関心を持っていなかった視聴者が、徐々にクァク・ドンヨンさんが演じるキャラクターに親しみを持ち始めるというようなことも多いような気がします。そういうキャラクター作りは、意識してやっているんでしょうか? それとも、台本に忠実にやっているのでしょうか?
それでいうと後者だと思います。台本からその人間的な姿を読み取って、できるだけ情報をキャッチして表現しようと思っています。そういうアプローチに成功すると、このキャラクターには、ここが足りないなとか、ここはおかしいなという部分があったとしても、そんなところこそがコミカルな魅力として伝わるんじゃないかと思います。そうすれば、本来は憎たらしい役でも、単に憎まれるだけではないというキャラクターを作ることができると思うんです。
作品に出るたびに台本を読み込んで、その人物の本当の役割はなんだろうということや、その人物の持つ多面的な部分をできるだけ引き出したいと思いますし、その人物像を隠すことなく全てを見せたいと思っています。やっぱり、現実に生きる私たちもいろんな面を持っていますので、演じる役についても、その人の多面的な部分をできるだけ表現しようと心がけています。
――今まで演じてきた役の中で、この人のここは共感できるなと思ったものはありましたか?
『ヴィンチェンツォ』に出演したときに演じたチャン・ハンソという役は、「誰にも負けたくない」「大企業のトップとして見られたい」という気持ちがすごく強い人物でした。でも、後半になるにつれて、主人公のヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギ)と距離がどんどん近くなっていくんです。その過程で、人に頼りたいという気持ちが出てくるんですけど、そういう気持ちって誰しも持っている部分だなと思えたし、共感できるなと思いました。
――「誰にも負けたくない」という気持ちは、ご自身との共通点でもありますか?
(日本語で)毎日、負けたくないです! 今日のような暑い天気にも負けたくないですね(笑)。
クァク・ドンヨン
1997年3月19日生まれ。2012年『棚ぼたのあなた』でデビュー。『雲が描いた月明り』(16年)、『サム、マイウェイ〜恋の一発逆転!〜』(17年)、『私のIDはカンナム美人』(18年)、『サイコだけど大丈夫』(20年)、『ヴィンチェンツォ』(21年)、『涙の女王』(24年)など出演作多数。
クァク・ドンヨン 日本オフィシャルファンクラブ
2024.09.15(日)
文=西森路代
撮影=三宅史郎