〈「出よう。絶対おかしなことになるから」『いいとも』に毎週出ても吉本では売れず…世界が注目する芸人・シューマッハに刺さった“タモリさんの一言”とは〈『アメリカズ・ゴット・タレント』で快挙〉〉から続く
米人気オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』のゴールデンブザー獲得により、飛び級で次のステージに進出することが決定しているシューマッハ。元々M-1を目指していた二人が「犬で生きていく」ことを決意したその陰には、一発芸の道を貫いてきた先輩芸人たちの金言があった。
「できることならしがみつきたかった」漫才やコントへの思い、そして彼らからプライドや執着を捨てさせた「犬」という鎹。全ての「うまくいかなかった」人たちに送る、新しい人生の見つけかた。(全3回の3回目/はじめから読む)
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「僕にはもう犬しかなかった」
——M-1のような賞レースで結果を出すことが成功とされる今の芸人界で、動物のかぶり物ネタをする苦悩、そして喜びはどんなところにあるのでしょうか。
中村竜太郎さん(以下、中村) サンミュージックの話から急にテーマが壮大に(笑)。
五味侑也さん(以下、五味) それは深いですね。
中村 もともと2人ともM-1志向で、本当に最初は頑張ってたんですけど、僕がマジで噛むんですよ。本当に噛むんです、僕。
——そうなんですか。
中村 今はフリートークだからまだマシかもしれないです。でも漫才だと緊張しちゃって言葉がガガガッとなっちゃうので、漫才をまずあきらめました。だったらコントに……って思ったんですけど、僕はマジで中学生のお遊戯会以下の演技力しか持ってなかった。本当に演技が『中学生日記』以下で。
五味 もはや『さわやか3組』だね。
中村 漫才では噛むし演技もダメってなったときに、僕にはもう犬しかなかった。あれ、演技要らないんで。
——かっこいい。
中村 かっこいいですか?
——「僕にはもう犬しかなかった」ってかっこいい。信念を感じます。
2024.08.28(水)
文=西澤 千央