1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。
「CREA」2024年夏号の「猫のいる毎日は。」特集。その一部を抜粋し、掲載します。
CREA 2024年夏号
『猫のいる毎日は。』
定価980円
20匹以上の野良猫を保護し、自身も5匹の保護猫と暮らす亜生さん。都内の保護猫カフェでお話を伺いました。
ゲーム機や服、机を売って猫の薬・病院代にしていた大阪時代
今、一緒に暮らす5匹の猫は全員、僕が保護した猫たち。大阪に住んでいたころ、仕事からの帰り道に歩いてたら鳴き声が聞こえてきたんです。なんの動物かもわからんかったけど、死なれたら嫌やなという気持ちで拾ったのが猫やった。隣に住んでたおばちゃんがいつも猫のトイレを干してるのを見かけてたから、どうしたらいいかを教えてもらって。
当時はまだお笑い1本でごはんを食べられなかったので、ゲーム機や服、机を売って猫の薬代や病院代に充ててましたね。1匹目を拾ったときは自力でごはんを食べられるまで面倒みようくらいの気持ちやったんですけど、もう1匹拾ったあたりから夜の街を見回りするようになったんです。当時の大阪は1カ所に20匹くらい野良猫がいたんですけど、ボランティアの方がごはんを持っていくとどこからともなく猫がぶわーっと出てきて。
僕はそんな様子を遠くから眺めながら、弱ってきた子がいたら保護してました。正直、最初の1~2年は猫が好きという訳じゃなかった。けど、実家に猫たちを預けたとき、迎えに行った僕に猫たちが近寄るのを見た親から「そんなん、あんたにしかやらへんで」って言われて。そうか、こいつらは懐いてたんやと実感してから一気に愛情が沸きました。
今まで保護したのは大体20~30匹くらい。後輩の蛙亭・中野や華山・やすい、当時付き合ってた奥さんの職場の人に引き取ってもらいました。やから、今うちにいるのは貰い手のなかった子達なんです。
2024.06.12(水)
文=高本亜紀
写真=志水 隆