つまり、1つのメニューから横展開のメニューが作られているわけである。例えば「麻婆蕎麦」-「麻婆丼」、「ネギ煮豚蕎麦」-「冷しネギ煮豚ぶっかけ」といった具合である。

 お客さんのリクエストに応えて増えていったという。

 

「先日も値上げの告知をしたら、大丈夫かと大勢が連絡して来店してくださいました」

 最後に川元店主からお客様へメッセージをいただいた。

「今年の5月19日で店も10周年を迎えました。ひとえにお客様の御贔屓があってこその賜物と存じます。自分が店をやって料理を作り、お客さまが店を育ててくださる。そんな関係が今も続いています。本当にありがたいことです。先日も値上げの告知をしたら、大丈夫かと大勢が連絡して来店してくださいました。これからも池袋の人たちに愛される店として精進していきます。是非またお越し下さい」

池袋人の心をつかめ「Seize the Heart」

 20歳頃から池袋で働いて来た川元店主は、池袋(ふくろうが有名)の美久仁小路にある、池袋の止まり木になるようにと店名を「梟小路」と命名したそうだ。

 ソール・ベロー的にいえば、池袋人の心をつかめ「Seize the Heart」といったところだろう。友人と再訪を川元店主に誓って帰路についた。

 午後4時過ぎ、池袋の繁華街は相変わらず人で溢れていた。

2024.08.06(火)
文=坂崎仁紀