《10年に一度の暑さ》高齢者だけでなく若い世代も例外ではない…「熱中症」になりやすい人・なりづらい人の差〉から続く

 気温は全国的に30度超え、東京地方は“今年1番の暑さ”になるという報道も…。そこで重度の熱中症(熱射病)になったときの3つの対策法を解説。筑波大学准教授で運動生理学的研究の専門家である藤井直人氏の新刊『猛暑対策BOOK:日本のヤバい夏を最新科学の力で乗り切る!』(小学館)より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/最初から読む

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重度の熱中症(熱射病)になったらどうすればいい?

 重度の熱中症(熱射病)は命にかかわるので、早めの対策が重要です。判断が難しいことが多いのですが、患者の症状や、置かれていた状況などから総合的に判断し、素早く適切に対応します。

(1)まずは症状や状況を確認する

 運動していたのか、気温や湿度はどれくらいだったのかなどの状況を素早く把握。中枢神経障害(意識障害など)がある場合は、直腸温を測定し、40℃以上の場合は熱射病と判断します。

(2)いち早くカラダを冷やす

 熱射病の場合は、冷水か氷水にカラダを浸し、1秒でも早く39℃以下に深部体温を下げることを目標とします。冷水や氷水を用意できない場合は、冷たい水で濡らしたタオルをカラダ中に張りつけ、1~2分おきにタオルを交換し続けて冷却効果を落とさないようにします。

(3)水分や電解質の補給は後でよい

 熱射病時の飲水は危険です。原則、十分な冷却後、意識がしっかりしてから、水分や電解質(ナトリウムなど)を補給して脱水からの回復をうながします。

「メントールの冷感スプレー」のリスクとは…《猛暑対策のやってはいけない・やるべきこと》〉へ続く

猛暑対策BOOK: 日本のヤバい夏を最新科学の力で乗り切る!

定価 1,430円(税込)
小学館
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2024.08.01(木)
文=藤井 直人