ホラーの勢いが止まらない。この夏はイベントに動画、ホラー小説など“恐い”コンテンツが特集され、人気を博しています。オカルト研究家であり、実話怪談の語り手として20年近いキャリアを持つ吉田悠軌さんが、現代ホラーを牽引するクリエイターたちと、今日のホラーについて論考した本『ジャパン・ホラーの現在地』(集英社)を上梓。今、日本のホラーはどこにいるのか? 現在と未来について話を聞きました。

ホラーカルチャーの今を俯瞰する一冊

――近年、ホラーカルチャーが一大ブームですね。2024年の夏はとても忙しくなるのではないでしょうか。

 ここがピークでないことを祈っていますが、20年弱、実話怪談を続けてきて、一般の女性メディアから取材が来ることになろうとは、と仲間内でも話しています。昔、90年代に男性ファッション誌の取材を受けた先輩は、それをずっと自慢にしていたくらいでしたから……。

――(笑)。ホラーはテレビだけでなくYouTubeやTikTokなどの動画メディアとも相性がよさそうですし、2023年、背筋さんが出されたモキュメンタリー・ホラー小説『近畿地方のある場所について』(KADOKAWA)が大ヒットして、文字メディアも賑やかな印象です。

 そう、それで“現在の”ホラーカルチャーを俯瞰してまとめておきたいなと思ったのが、今回の『ジャパン・ホラーの現在地』の企画なんです。実は2022年から、ある出版社から出す予定で取材を進めていたのですが、突然「諸事情で出せなくなりました」と。

――そんなことがあるんですね。

 あまりないですよね。幸い集英社から出すことができましたが、「このテープもってないですか?」を手がけたテレビ東京の大森時生さんにいち早く注目して取材をしていたのに、出版までに時間が掛ってしまって、ちょっと出遅れたのが悔しいです(笑)。

――この本では、ホラーカルチャーの最先端にいるクリエイターと吉田さんの対談や鼎談が主体になっていますが、人選は吉田さんがされたのでしょうか。

 そうですね。できるだけ自分が専門の実話怪談以外の最前衛で活躍されている人とお話したいと思いました。

 フィクションとノンフィクションを問わず、テレビ、マンガ、ゲームなどさまざまな媒体を介して“恐い”コンテンツを作っているクリエイターと一緒にホラーカルチャーについて語り合っているという内容で、結果的にかなり濃厚です。

2024.07.27(土)
文=ライフスタイル出版部
撮影=佐藤亘