彼は46歳で、格闘技の選手としてはかなり高齢です。いろんな意味でケツに火がついている彼と、年齢に抗い続ける僕が一緒にトレーニングをすることが、今のところ非常にいい作用を生み出しているので、しばらくは続けてみようかと。

5月のCOMPLEXライブでは「痛みなんて全部忘れてました」

──今年でデビュー40周年を迎えます。ふりかえってみて、いかがですか?

吉川 僕が一番軸にしているのは歌手活動です。これまで、コンサートツアーに来てくださるみなさんに元気になっていただく、笑顔で帰っていただくことを、自分の役目と信じてやってきました。

 観客の力が集まると、ステージの上ではできそうもないことができたりもします。

 5月に「令和6年能登半島地震」の復興支援を目的とした東京ドーム・COMPLEXチャリティーライブをしたんですけど、結構怪我だらけだったんですよ。でもライブ中は脳から何かが出てきて、痛みなんて全部忘れてました。これって、お客さんがくれる力なんですよね。

 そうやって応援してくださるみなさんがいることをありがたいと思い、パワーをいただきながら、これからも怯まず力まず、しなやかに生きていきたいです。

 

引き時だけは間違えないようにしたい

──吉川さんが目指す10年後20年後のビジョンは。

吉川 引き時は大事だと思うんで、それだけ間違えないようにしたいと思います。歌い手としては、声が出なくなったら引き時かなと思いますね。

 男って一番引き時が大事じゃないですか。龐煖もそうですが、男ってどこか死に場所を求めて生きているようなところがあると思うんですよ。かっこいい言い方をするとハードボイルドみたいな。

 だけど矛盾してるようだけど、死に場所って結局、それが生きる場所でもあると思うんです。「役者は舞台で倒れたら本望だ」ってよく聞きますけど、そんなことされたら客は迷惑ですよね。老害じゃねえか、おまえって。そこは気をつけたいと思っています。

2024.07.25(木)
文=相澤 洋美